花巻

「又三郎」舞台は大迫 地形、方言から考察 早池峰賢治の会 浅沼会長が書籍出版【花巻】

「あった!!風の又三郎の原風景」を出版した浅沼会長

 早池峰賢治の会の浅沼利一郎会長は、宮沢賢治の作品「風の又三郎」を考察した書籍「あった!!風の又三郎の原風景」を出版した。物語の描写から花巻市大迫町が舞台と考える浅沼会長は「賢治さんが歩き、目にし、作品に書いた場所があることを地元の子供たちにも知ってほしい」と話している。

 同書は、作中の風景と同町外川目の集落との共通点などを取り上げた「風の又三郎の原風景」、当時の大迫の地形や子供たちの暮らしの解説を加えた原文「風の又三郎」、「風の又三郎に書かれた方言」の3章構成。

 作品舞台について浅沼会長が着目したのは、三郎がタバコの葉をむしる場面で、「この時期に収穫を迎える葉は大迫特産の南部葉。県内でほとんど生産されていなかったので、作品がこの場所で書かれたと考えられる」「この辺りは石灰岩地帯で大小たくさんの鍾乳洞があり、三郎はこれを利用して仲間にいたずらした」と分析した。

 作中のせりふや方言に関しては、「なして泣いでら、うなかもたのが」(どうして泣いてるんだ、おまえがいじめたのか)、「あべさ」(行こう)などを説明。子供たちの言葉が忠実に再現されていることから、地元の人たちと長い時間をかけてコミュニケーションを取ったと推察している。

 同書は、賢治と大迫のゆかりの品を紹介する「早池峰と賢治」の展示館の開館10周年を記念して出版した。同館の館長も務める浅沼会長は「私たちが子供の頃に遊んでいる姿を、そこに住んでいたかのように克明に書いている。作品にあるところには、その場所がある。そこで土や木のにおい、風を感じることによって本当の賢治さんが見えてくる」としている。

 A5判、72ページ。同市大迫町大迫の同館で500円(税込み)で販売している。

 問い合わせは同館=0198(48)2070=へ。

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