一関・平泉

浄土庭園の絵奉納 日本画家村田さん 毛越寺題材、常設へ【平泉】

毛越寺に日本画「浄光」を奉納した村田さん(左から2人目)と宏子夫人(左)、藤里貫主

 花巻市大迫町出身の日本画家村田林藏さん(63)=神奈川県鎌倉市=が12日、平泉町の毛越寺に自作の日本画「浄光」を奉納した。緑青(ろくしょう)で森閑とした毛越寺の浄土庭園のたたずまいを表した作品で、同寺では本堂に常設し、多くの人に見てもらうことにしている。

 村田さんは、盛岡市立高校を経て東京芸術大美術学部日本画科へ進み、日本画家平山郁夫氏に師事。卒業後は院展を中心に活躍。近年は県内で多くの個展を開催、2017年には一関市東山町の松川二十五菩薩(ぼさつ)像収蔵庫の天井画を制作するなど精力的に活動している。

 奉納された「浄光」は80号の大作で、同寺の大泉が池を中心とした浄土庭園を日本画の顔料の緑青で描き、極楽浄土へ日が沈むイメージを表している。東日本大震災が発生し、平泉の文化遺産が世界遺産に登録された11年に制作した。

 震災で失われた風景がある一方、世界遺産として残されていく風景がある中で、「風景はいつまでも変わらないものではない。われわれ画家は何をしたらいいかと考えた時、今ある風景を描き残したい」(村田さん)と筆を執った。

 同日は村田さんと夫人の宏子さん、同町の青木幸保町長らが出席して同寺本堂で奉納式が行われた。村田さんは「いつかは本来の場所に寄贈したいとずっと考えていた。穏やかな森閑とした静かな風景からいろいろなイメージを受け取ってもらえればうれしい」と語り、縁あって奉納できたことにほっとした表情を見せた。

 同寺の藤里明久貫主は「素晴らしい清浄な絵。浄土庭園という毛越寺にふさわしい絵を頂いた。絵は人の心に直接働き掛ける力を持っている。お参りした人がこの絵からどのような印象を受けていただけるかが楽しみ」と感謝した。

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