一関・平泉

東京二期会オペラ劇場「ローエングリン」 川崎町出身・バス歌手金子さん出演 初舞台で難役「夢のよう」【一関】

東京二期会オペラ劇場「ローエングリン」でハインリヒ役を務めるバス歌手金子宏さん

 一関市川崎町出身のバス歌手金子宏さんが、21日に開幕した東京二期会オペラ劇場「ローエングリン」全3幕字幕付き原語上演で「ハインリヒ・デア・フォーグラー」役を演じた。ローエングリンはワーグナーのロマンチックオペラの頂点とされ、その中でハインリヒはドイツ国王として舞台を盛り上げる主要キャスト。金子さんは「二期会にデビューするに当たってこの役を歌えるとは」と感激している。

 金子さんは、一関二高2年在学中の進級する直前に「中学校の音楽の先生になりたい」と音大受験を目指してレッスン開始し、翌年玉川大音楽学部声楽科に現役合格。「歌の世界で生きていけたら」と必死に学んだが、一時断念し、中学校の音楽教師を務めた。

 1998年、東京都に新国立劇場が開場。同劇場は日本初のオペラ、バレエ専用劇場。オペラ公演の合唱団員に応募した金子さんは合格し、教師を辞めてアルバイトをしながらオペラ公演に出演し、さらにレッスンを重ねた。

 そんな中、2007年に転機が訪れた。ミヒャエル・ハンぺ演出のロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」でバジーリオ役を獲得、さらにイタリア声楽コンコルソのファイナリストとなり、08年に文化庁派遣在外研修員としてドイツ留学した。

 ハインリヒ役と向き合ったのがドイツ留学時で、ワーグナーの歌を学ぶよう勧められ、ハインリヒの楽譜を学んだ。当時を振り返り、「5段という短い曲だが、『とても難しくて、この曲を含めたハインリヒ役を歌い切るのは無理だ』と思った」と話す。役の難しさは「ハインリヒ役は音域が広く、本場のドイツでも多くのバス歌手が敬遠する」という。

 今回は金子さんにとって二期会デビュー。「難しいと思っていた役でステージに立つことができることは夢のようだ。しかも二期会デビューで」と大舞台で主要キャストを務める心境を明かす。

 ハインリヒは、国王として合唱団を鼓舞する場面が多い。「ステージの士気が上がるかどうかはハインリヒに懸かっている。ステージを十分に盛り上げ、主役のローエングリンにバトンを渡す。そんな役割があると思う」と役作りに込めた思いを語る。

 公演は21、22、24、25日の4日間、東京文化会館を会場にダブルキャストで行われる。金子さんは22、25の両日出演。指揮は準メルクルさん、演出は映画監督深作健太さん。二期会合唱団、東京都交響楽団がバックを支える。

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