地元ファンと交流 芥川賞の若竹さん 盛岡でサイン会【岩手】
「おらおらでひとりいぐも」で第158回芥川賞を受賞した若竹千佐子さん(遠野市出身、千葉県木更津市在住)によるサイン会は28日、盛岡市内の2書店で開かれた。地元ファンが大勢詰め掛け、一躍スター作家となった若竹さんとの交流を楽しんだ。
若竹さんは、1954年生まれ。岩手大教育学部卒。夫に先立たれた女性の老境を出身地の遠野弁を交えてつづった同書でデビューし、芥川賞を受賞した。
同日は、東山堂川徳店とさわや書店ORIORI店の2カ所で、各書店によるサイン会が開かれた。このうち東山堂川徳店には、約100人のファンが来場。拍手で迎えられた若竹さんは、「金メダルを獲った時のようで本当にうれしい。大学がこちら(盛岡)だったので、風景が懐かしい」とあいさつした。
参加者は「受賞おめでとうございます」「私も同年代です」などのメッセージを伝えたり、握手を求めたりして作者との対面を喜んだ。若竹さんもファンが持参した本に丁寧にサインし、「来てくれてありがとう」と笑顔で応えた。
盛岡市の主婦畠山英子さん(71)は「方言は難しい部分もあったが、読んでいるうちに遠野の情景が浮かんでくる素晴らしい小説だった。作者の若竹さんも穏やかですてきな方。会えて良かった」と語っていた。
河出書房新社によると、同書の発行部数は50万7000部を突破。同世代の女性を中心に、「主人公に共感できる」などと大きな反響を呼んでいるという。