一関・平泉

フレイル 「要介護になる前に」 口腔機能虚弱の兆候 早期対応で改善【一関】

オーラルフレイルは早めの発見と対応で健康に戻すことも可能と強調する三浦さん
滑舌低下や食べこぼし、むせ…

 老化に伴い筋力や活力が低下した状態、フレイル。フレイルの状態が進むと、要介護状態になるとされる。フレイルの中でも口腔(こうくう)機能の虚弱「オーラルフレイル」は、兆候が発見しやすいものの、進行することにより体全体のフレイルが進む要因の一つとされる。県歯科医師会口腔保健センター事業運営委員会委員を務める歯科医師三浦康弘さんはオーラルフレイルについて「早めの気付きと適切な対応で健康に近づける」という。

 フレイルは英語のFrailtyを片仮名にしたもの。一言にして「虚弱」という訳が当てられるが、三浦さんは「虚弱や衰弱という言葉を使うとネガティブイメージが強く回復しないと思われがち。あえて片仮名のフレイルという言葉を使い、早期発見と対応で健康な状態にも戻せることを浸透させたい」としている。

 オーラルフレイルは歯や口の機能の虚弱で、健康と機能障害の中間で可逆的。ただ、放置したまま改善されないと栄養障害に陥り、全身の虚弱化につながる。また、「口からの摂取が3週間できなかったら戻すのに7年かかるとされている」という。

 その兆候は、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥など、見逃しやすく、気が付きにくい小さなもの。「物がかみにくくなった、むせやすくなった、食事が楽しめないといった症状がある場合、早めの受診が必要だ」と三浦さんは話す。

 オーラルフレイルの対応としては、かみ合わせや歯周病の場合は歯科治療や口腔ケア、口の筋力が低下している場合はストレッチやマッサージ、摂食嚥下(えんげ)リハビリなどとなる。

 三浦さんは「フレイルは早めの対応により、要介護状態に陥るのを遅らせられる。定期的に受診するかかりつけ医を持つことは早期発見につながる」と、普段から状態を見守る医師、歯科医師、薬剤師らのかかりつけの必要性を強調。また、歯科医ばかりでなくチームとして多職種連携が不可欠としている。

 「一関地方は超高齢時代に入っている。平均すると12~13年、要介護や要支援の状態になるのが現状で、フレイルから要介護状態への進行を遅らせることは、重要な課題と捉えている。健康の保持にとっても口は入り口。大切に考えてもらいたい。さまざまな研修機会も活用してより良い医療環境づくりも進めたい」とし、啓発活動に力を入れるとともに、医師らとの連携を進める考えを示している。

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 「フレイル 『要介護』になる前に」は、さまざまな場で取り上げられ、関心が高まっているフレイルについて取材を進め、今後も随時掲載します。(報道部・菅原親裕)

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