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気仙伝統の椿油が復活 多くの後押しに恩返しを 石川製油(陸前高田市)

工房の前で笑顔を見せる石川秀一さん、春枝さん夫妻。津波で流されながら発見された大切な看板を掲げている
いわにちリビングun特集「けせんra・shi・ku」拡大版

 気仙地域の名物・椿油の製油を手掛け、東日本大震災で工場が被災した陸前高田市の「石川製油」が昨年11月、同市竹駒町で事業を再開した。津波で跡継ぎの長男を亡くし、一時は廃業を決めた石川秀一さん、春枝さん夫妻だが、なじみ客の後押しを受けて構えた仮設店舗には毎日多くの人が訪れている。

 ツバキ自生の北限といわれる気仙地域。その実は「食べてよし、塗ってよし」とされ、良質な油が古くから人々に親しまれてきた。中でも、寒暖の差が激しい同地の椿油はコクと粘りが特徴で地元の愛用者も多い。

 震災後、事業再開を断念した2人は市内の就労支援事業所で椿油造りの技術指導をしていたが、なじみ客からの製油依頼や、「再開してほしい」という声が絶えなかった。少しずつ再開への気力を取り戻す2人の背中を押したのは、「冬休みの自由研究にしたい」と1日中夢中で製油作業を手伝ってくれた孫の存在。2人の中に「培ってきた製油の技術を孫に伝えたい」という強い思いが湧き上がった。

 「いろんな人に助けられて今までやってきた。そのお返しにこの場所をみんなの心のよりどころ、サロンのような場所にしていきたい」と話す2人。製油だけでなく、誰でも気軽に立ち寄れる工房づくりに励んでいる。

DATA
住 陸前高田市竹駒町仲の沢8-2
☎ 090・4310・1290
営 9時~16時
休 日曜

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