北上・西和賀

震災教訓、次代へ 講話や訓練で伝える 宮古で被災 北上中の生駒教諭

被災した宮古二中での勤務経験を北上中でも語り継いでいる生駒教諭

 東日本大震災発生時、宮古市立第二中学校に勤務していた生駒大輔教諭(43)は、現在勤務する北上市立北上中の生徒に当時の体験を伝えてきた。7年がたつのを前に、子供たちの当時の記憶が薄れ、震災を知らない世代も育っていくことから、「どの災害でも普段の備えがないと対応できない」と今後も語り継ぐことを誓っている。

 生駒教諭は一関市育ちで、保健体育が専門。宮古二中には2012年度まで6年間勤務した。

 卒業式の練習中に発災し、生徒とともに校庭に避難。「学校から津波は見えなかったが、建物が壊れ何かが爆発する大きな音が繰り返し聞こえた」と当時を振り返る。

 学校は避難所となり、逃れてきた住民との共同生活が始まった。別の避難所からの通学となった生徒もおり、生駒教諭は同僚と交代しながら2週間近く同校で寝泊まりした。

 当時受け持った2年生にも大きな変化が見られた。わんぱくな子供たちだったが、修学旅行が延期になっても「仕方ない」と冷静。普段おとなしかった生徒もボランティア活動に積極的に参加した。

 発災後の家庭訪問では、保護者の姿にも心を打たれた。新築で津波被害を受けた家庭でも泣き言は聞かれず、かえって「子供たちのことを優先してほしい」とお願いされたという。

 北上中(下川原宏明校長、生徒562人)に赴任後も授業などで折に触れて体験を話してきたが、今年度の避難訓練では自身が中心となったプログラムを実践した。

 事前に研修を受け、昨年12月に全校生徒を前に体験を伝え、災害時に生死を分ける行動をシミュレーションするクロスロードゲームや、沿岸から避難で転校してきた同校生徒の体験談も交えて防災意識を高めた。

 生徒の真剣な姿勢に手応えを感じた一方で、当時の小学1~3年生が今では中学生。時がたつのは早い。「情報を分析して考え、周囲にも手を差し伸べられる人であってほしい」と強く願う。

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