奥州・金ケ崎

10代、「今」を生き生きと 劇団ら・ラ・RA第2回公演「まだ、研究中」【金ケ崎】

劇団ら・ラ・RAの第2回公演で、魔法に振り回される人間界を舞台に等身大の10代の姿を生き生きと演じる団員

 小中高生による「劇団ら・ラ・RA」の第2回公演「まだ、研究中」は1日、金ケ崎町西根の町中央生涯教育センターで午前、午後の2回行われた。魔法という要素を取り入れながら、10代の子供たちが抱える現状や心情にも踏み込んだ意欲作を団員らが熱演した。

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 同劇団代表の松本航輝君(17)=岩谷堂高3年=の作・演出による作品は、文化祭での合唱発表を控えた人間界の中学校の1クラスを中心に物語が展開。魔法界の子供が「人間が魔法を使えたら」との研究で1人一度きりだけ使える魔法を授けたことで、生徒たちは翻弄(ほんろう)される。

 将来の夢や淡い恋心、複雑な家庭環境など個々の事情に加え、陰湿ないじめと生徒間の微妙な上下関係、東京電力福島第1原発事故に起因する福島県出身者への偏見や排除意識など現代の問題にも向き合った重厚なストーリーを、映像や演者による合唱発表などを盛り込みながら上演した。

 午前、午後合わせて約130人が来場。子供から大人まで幅広い世代が団員の熱のこもったステージに見入り、拍手を送った。友人が出演し、自身も中学時代には町民劇場の出演経験がある宮本翔君(金ケ崎高3年)は、「想像していた以上の舞台。(学校の場面など)思っていたよりリアルで、他の劇では見られないような内容。難しい役もしっかりと一人ひとりが演じていて良かった」と語った。

 総合制作を務め、舞台では2役を演じた後藤鈴さん(16)=岩谷堂高2年=は「緊張する間もないくらい忙しく、ハプニングもあったが楽しくできた。今回は制作という立場で初めてやることも多く大変だったけれど、みんなで一つの舞台をつくるという目標で、いい舞台ができたと思う」と笑顔を見せた。

 同劇団は町民劇場の参加者ら演劇に継続して取り組みたいとの思いを持つ児童生徒で2016年11月に活動を始め、17年3月に第1回公演を開催。同8月には特別公演の「夏公演」を行っている。

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