北上から五輪へ クロカン田中ゆかり選手(西和賀出身) フォルダに就職、始動
西和賀町沢内出身でノルディックスキー・クロスカントリーの田中ゆかり選手(22)は今春、北上市を拠点に活動を開始した。中学卒業と同時に古里を離れ、北海道の高校、大学で活躍。3月に大学を卒業し、7年ぶりに帰郷した。NPO法人フォルダ(同市)に所属し、地元の支援を受けながら2022年の北京冬季五輪を目指す。
田中選手は旧沢内第一小、沢内中から旭川大高(北海道旭川市)を経て東海大国際文化学部(札幌市)に進学。全国中学校、全国高校、全日本学生の各スキー大会での優勝のほか、世界ユニバーシアード8位など輝かしい実績を持つ。
古里への思いを強くしたのは学生時代。帰郷するたびに北上、西和賀の昔と変わらない風景を目にし「岩手に恩返しをしたい」という気持ちを募らせた。大学卒業後も選手を続ける道を模索する中、17年3月に盛岡市内で開かれた選手対象のセミナー「いわてアスリート就職マッチング」への参加がきっかけとなり、同法人への就職が決まった。
同法人の体幹トレーニング教室や走り方教室の講師、イベントスタッフなどを務めながら、北上市の夏油高原スキー場や樺山国見山コース、西和賀町の志賀来スキー場などで練習に励む。田中選手は「地元で活動できるのは本当に心強い。この地で本当の強さを身に付け、何があっても揺るがない選手になりたい」と決意を語る。
4年後を見据え、まずはナショナルチーム入りを果たすため、次のシーズンでの好成績を目指す。国内外遠征や大会出場、用具や専任コーチの手配など多くの費用が必要となるため、北上、西和賀両市町の企業スポンサーも募っていく。
同法人の司東道雄理事長(52)は「オリンピアンを育てたいと考えていた中、昨年のセミナーで『五輪に出たい』という強い思いを持っていたのが田中選手。地元企業などの応援をいただき、北上、西和賀の盛り上げのためにも五輪に送り出したい」と語る。
5日には北上市役所に髙橋敏彦市長を表敬訪問した。髙橋市長は「北上、西和賀をPRしていただきたい」とエールを送った。