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ILC体感、関心高揚へ 盛岡市内 オープンラボ開設

岩手ILC連携室オープンラボの開設式でクライオモジュールについて解説するKEKの吉岡名誉教授(左から5人目)

 次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」など加速器関連産業への参入を目指す事業者や興味を持つ学生の研究・学習活動に役立てる「岩手ILC連携室オープンラボ」が盛岡市内にオープンした。県が高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の協力を得て開設したもので、ILCの心臓部の「クライオモジュール」の実機を展示、企業の研究開発の推進につなげるほか、子供たちがILCを体感し関心を高めてもらう場とする。

 18日は県の関係部局や市町村、民間事業者ら約30人が出席し、同市北飯岡の県先端科学技術研究センター内でオープンラボの開設式を行った。千葉茂樹副知事が「オープンラボを多くの方々に活用いただき、本県加速器関連産業の集積が促進されるとともに県民の関心が高まるよう期待したい」とあいさつし、KEKの吉岡正和名誉教授と中心展示物のクライオモジュールの除幕を行った。

 岩手ILC連携室は2016年6月に設置。いわてILC推進ビジョンの取り組みや産学官連携の拠点機能を担う。連携室と同じセンター内にできたオープンラボは情報発信や産業化、人材育成、研究開発の拠点として機能を強化し、クライオモジュール、ニオブ製超伝導加速空洞をはじめ関連装置、各種解説パネルなどを展示。誰もが学習や研究ができる開かれた施設として運用する。

 展示したクライオモジュールは長さ約6メートル、口径約1メートル。10年ほど前にKEKが製作した初号機で、実験にも使用した実機を県が借り受けた。KEK以外で実機を見学できるのは本県が初めて。本県などが誘致を目指すILCは展示した実機の倍に当たる長さ約12メートルのクライオモジュールを衝突点を挟む形で1000台ほど設置し中央部の衝突点で電子・陽電子ビームを衝突させるという。

 吉岡名誉教授はクライオモジュールの展示について「(装置の)設計は図面だけ見ても難しいが、実際に物があるとイメージがつくれる。開発する上で実物があることは大きい」と指摘。「少子高齢化や人口減少に耐え得る社会を築くにはイノベーションしかない。ILC(の建設)はイノベーションの基が何十年もここに存在し、日本を変えることだ」と改めて誘致の必要性を訴えた。

 企業や事業者がオープンラボの見学や利用を希望する場合は1週間前までに連絡が必要。見学などの問い合わせはいわて産業振興センターものづくり振興部=019(631)3825=へ。

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