一関・平泉

教訓風化させず 岩手・宮城内陸地震 発生から10年、市全域で訓練【一関】

岩手・宮城内陸地震で山腹崩壊による河道閉塞が発生し、恒久対策工事が進められた一関市厳美町字市野々原地内の磐井川

 岩手・宮城内陸地震は14日、2008年6月14日の発生から10年を迎えた。奥州市衣川で最大震度6強を観測し、震源地に近い一関市厳美町は道路や橋梁(きょうりょう)などの土木施設、農地、温泉施設などが大きな被害に見舞われたが、復旧工事は関連事業を含めて全て完了し、平穏を取り戻している。震災の記憶を風化させまいと、市は地震発生時刻の午前8時43分に合わせ、自ら身を守る行動を取ってもらう「シェイクアウト訓練」を全域で実施し、改めて市民の防災意識高揚を図る。【15面に関連】

 内陸地震は、逆断層型の直下型の地震で、地震の規模を示すマグニチュード(M)が7・2。本県内陸南部と宮城県内陸北部に大きな被害をもたらし、一関市と奥州市では2人が死亡し、37人が重軽傷を負った。住宅関係の被害は両市合わせ全壊3棟、半壊6棟、一部損壊1000棟超に上った。

 一関市では、磐井川に架かる国道342号の旧祭畤大橋が大きな揺れで折れ曲がったほか、真湯ゲートから須川高原温泉に通じる同国道も土砂崩れにより崩壊した。市野々原地区では山腹崩壊で磐井川がせき止められる河道閉塞(へいそく)が発生し、住民生活に深刻な影響を及ぼした。

 緊急対策で行われた治山復旧工事のほか、大規模な山腹崩壊に見舞われた市野々原地区で進められた各種治山事業は15年度末までに全て完了。現在は当時のまま保存された旧祭畤大橋や同国道沿いの落石モニュメントといった災害遺構が、被害の大きさを後世に伝える役割を担っている。

 10年の節目に合わせて行われるシェイクアウト訓練では、地震発生時刻に合わせ、屋外広報マストやFMあすも専用ラジオから地震発生を知らせる放送を流し、全市民にそれぞれの場所で身を守る安全確認行動を取るよう呼び掛ける。県建設業協会一関支部では、県や市などの関係機関と災害応急対策活動協定に基づく訓練を実施し、情報伝達の手順を確認する。

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