一関・平泉

路面の凍結察知 自動車ステアリング振動システム 企業と共同開発 一関高専 伊藤准教授ら

ピーアンドエーテクノロジーズと提携し、自動車のステアリング振動システムの開発を進める一関高専の伊藤准教授

 一関工業高等専門学校未来創造工学科機械・知能系の伊藤一也准教授(43)研究室はピーアンドエーテクノロジーズ(盛岡市)と共同で路面状態を高周波振動で提示する自動車のステアリング振動システムの開発を進めている。ハンドルを振動させて路面の凍結状態などを運転手に伝えるシステムで、冬季の事故防止につなげたい考えだ。

 冬期間の事故の多くはスリップが原因だが、路面の確認は運転手の目視による判断が主となっている。運転しながら路面状況を把握できればスリップによる事故を未然に防ぐことができると考え、5月から同システムの研究開発に取り組んでいる。

 同システムでは、車輪の回転数などから道路の凍結を察知するとハンドルに搭載された四つのHDリニア振動子が振動。運転手に事前に滑りやすい道路を伝え、適切なハンドル操作や減速を促す。

 同社が振動パターン評価装置、一関高専がステアリングを振動させる装置などを担当する。伊藤准教授によると、▽振動を知覚しやすいステアリング表面状態の確立▽振動制御技術の確立▽HDリニア振動子の搭載位置-などの課題があるといい、今後、試作機を作るなどして開発を進め、2019年4月までの完成を目指す。

 開発は総務省の18年度戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)に中小企業枠で採択された。同校が同事業に採択されるのは今回が初で、約250万円の資金が補助される。

 日産自動車で勤務経験がある伊藤准教授。1月に知人の娘の乗用車が対向車線にはみ出して大型トラックと衝突する死亡事故が発生し、「自分の想定以上に滑ることが分かっていれば、事故は防げたのではないか」と考えるようになったという。完成に向け、「目で見るより、直感的に伝達する方がより安全に運転するようになるはずだ。より振動が伝わるよう、開発を詰めていきたい」と語っている。

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