花巻

日本の水道事業学ぶ パレスチナ研修員10人 岩手中部事業団を視察【花巻】

日本の水道事業や課題などの講義を受けるパレスチナ自治区ジュニン市の職員ら

 国際協力機構(JICA)の研修事業に参加するパレスチナ自治区の研修員が28日、岩手中部水道企業団(管理者・髙橋敏彦北上市長)を訪れ、漏水対策や料金徴収、水道施設管理などについて職員から講義を受けた。パレスチナでは水資源不足と請求対象にならない水(無収水)が多いため財政を圧迫しており、解決策を求めて日本の地方都市の水道事業や施設管理の取り組みを学んだ。

 訪れた研修員はヨルダン川西岸の同自治区ジェニン市の職員で、上下水道や土木、財政などに携わる男性9人と女性1人。

 同企業団の本事務所が入居する花巻市葛の市交流会館で講義を受けた。初めにジェニン市の水道状況の説明があり、イスラエルが主要な上水道設備を管理しているなど政治的、経済的な事情により、一日の給水量が限られているほか、無収水が多い原因として漏水、メーター老朽化、不正確な検針、それに違法に水道管に接続されて水が盗まれるという。このため徴収率が上がらず財政状況が圧迫し、サービスが低下している。

 講義では同企業団の菊池明敏局長が、北上、花巻、紫波3市町での水道事業の統合や浄水施設の統廃合など経営改善の取り組みを紹介した。ジェニン市の無収水削減の対策として、ジェニンでは複数世帯が同一メーターを使用しているため菊池局長が「日本のように各世帯に設置することや、メーターの故障を避けるため、決められた年数が経過したら交換するというルールを作る」などと助言した。

 同市上下水道部のラグヘブ・マルヒス部長は「ジュニンは水道運営で多くの課題を抱えており、解決とサービス改善が急務。日本の研修で得た知識をパレスチナの発展のために生かしたい」と話していた。

 JICAでは同市の水道事業に係る財政状況を改善するため、2017年9月から3年間、技術協力プロジェクトを実施している。

 一行は29日に同企業団管内の浄水場や料金徴収の現場などを視察する予定で、7月3日まで国内に滞在する。

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