一関・平泉

きょう工場閉鎖 北上製紙 創業70年の歴史に幕【一関】

20日に工場が閉鎖される北上製紙=一関市旭町

 段ボール原紙、新聞用紙などの製造・販売を手掛ける北上製紙(本社一関市旭町、内田善朗代表取締役社長)は、20日に工場を閉鎖し、創業70年の歴史に幕を下ろす。6月20日に操業を停止し、以降は機器の撤去や清掃作業を行ってきた。今後は離職者126人の再就職に向けた動きを加速させていく。

 北上製紙は1948年に設立、創業し、99年に日本製紙の連結子会社となった。東北地方を中心に新聞用紙、段ボール原紙などの生産、販売を行い、近年は資源リサイクルを推進する製品開発と拡販にも力を入れてきたが、世界的な古紙をはじめとする原材料価格の高騰により厳しい事業環境が続いた。

 コストダウンの徹底や製品価格の修正にも取り組んだが、2017年3月決算では経常利益で2億300万円、当期純利益でも16億7600万円の赤字を計上。今後の損益改善、安定した黒字化は困難であるとの見通しから、全ての事業の生産・営業を停止し、閉鎖することを決め、1月16日の取締役会で決議、発表した。今月20日で工場を閉鎖し、31日に営業を停止する。

 離職者は北上製紙と関連の北上製紙サポート、旭工業合わせて126人で、ほとんどが20日付で退職し、10人ほどが残務整理に当たる。北上製紙サポートは物流部門が事業を継続することになり、従業員30人ほどが残るという。

 機器類はグループ外を含めて売却を進めている。跡地についても売却先を検討しているといい、建屋は10月ごろから撤去に着手する見込み。

 同市真柴字矢ノ目沢地内の国道284号沿いに設置していた古紙回収「紙源のカゴ」も、古紙の飛散が懸念されることなどから閉鎖した。

 北上製紙が契約した再就職支援会社を通じて離職者の再就職を進めるほか、関係団体による離職者対策本部でも支援に当たる。

 20日は全従業員が参加して閉鎖式を行い、その後に各部で退職の辞令を交付して解散となる。

早期再就職を支援 対策本部 活動本格化

 北上製紙が20日で閉鎖することを受け、一関地方の関係機関・団体によって設置された離職者対策本部は活動を本格化させる。今月下旬に求職受理や雇用保険受給資格決定などのための集合受け付けを行う一方、就職ガイダンスを開催して早期の再就職を目指していく。

 対策本部は今月上旬に離職予定者を対象に各種手続きについての説明会を開催。その際に実施したアンケートでは、勤務地はほとんどが地元を希望し、通勤時間も1時間以内を考えている。職種は製造業希望が主で、収入も現状と同程度を望んでいるという。

 40代の男性従業員は「6月に機械がストップした後はみんなモチベーションが下がり、顔を合わせればほぼ再就職の話だった」と振り返り「地元で通勤時間も30分程度を希望している人が多いが、一関周辺で給与も含めて希望の職があるかどうか不安に思っている」と語る。

 1月の閉鎖決定発表後、一関公共職業安定所などには県内外の80社以上から離職者受け入れ希望に関する情報が寄せられている。これらに加え、両磐インダストリアルプラザ、一関東工業団地協議会の会員事業所にも依頼した結果、約50社が就職ガイダンスに参加する見込み。中には、北上製紙の離職者のみを対象とした求人を用意している事業所もあるという。

 以降も8月の中東北就職ガイダンスへの参加も呼び掛けるなど、早期の再就職に向けて取り組みを強化していく。

momottoメモ

▼2018年1月16日号外

地域の記事をもっと読む

一関・平泉
2024年4月25日付
一関・平泉
2024年4月25日付
一関・平泉
2024年4月25日付
一関・平泉
2024年4月25日付