北上・西和賀

繭の出荷スタート 今年度生産目標は350キロ 北上・更木ふるさと興社

出荷を前に繭を形成したカイコ。養蚕業の復活や新産業の創出が期待される

 北上市更木地区で養蚕事業をスタートさせた同市の更木ふるさと興社(小原孝也代表取締役)は、今月中旬から繭の出荷を開始した。6月の養蚕開始時に約5万5000頭仕入れたカイコを飼育しほぼ全量が繭を形成。岩手大発のベンチャー企業・バイオコクーン研究所(盛岡市)とともに、2018年度は約20万頭のカイコを飼育し約350キロの繭生産を目指す。

 位置を決めたカイコは吐糸して足場を作ってから数日で繭を完成させる。北上市内を中心に採取した餌の桑を食べたカイコは、蔟(まぶし)と呼ばれる小さな仕切りが多数あるボール紙製の容器(縦54センチ、横40センチ)の中に居場所を決め、飼育を開始した6月初旬から約1か月で繭を形成した。

 繭の第1便は12日に群馬県にある製糸会社に出荷された。繭は製糸会社で糸が取り除かれた後、残ったさなぎが製糸会社から同研究所に納品され、同研究所は健康食品の原料に利用する。

 第2陣として新たに仕入れた約5万2000頭を今月初旬から飼育中。同興社の福盛田洋幸常務は「初めての飼育で体が大きく育たないものがあるなど生育にばらつきが出たが、飼育方法を習得することができた。次回からより上質な繭ができるよう取り組みたい」と意欲を示した。

 同興社は今年度、約3・5ヘクタールの畑で桑を栽培するうち約1・5ヘクタールを養蚕用に使用する。開始当初は約5万5000頭のカイコを仕入れ、同興社隣接地に整備された養蚕ハウス2棟で飼育を開始し、今年度は6~10月に4回飼育し繭の生産を目指している。

 この養蚕プロジェクトは、同研究所が行う健康食品の開発や同興社と協力したカイコの飼育などが柱。関連して更木町振興協議会や北上信用金庫、北上市、岩手大、県南広域振興局、映画製作配給会社「東宝」(東京都)の産学官民金の関係8団体は6月、推進組織を設立し、養蚕業の復活・再生や新産業創出、地域活性化を目指して取り組んでいる。

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