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波及効果5兆7200億円 ILC実現へ【岩手】

ILC誘致の経済波及効果の調査結果を説明する谷村会長(左)と鈴木委員長
推進協20年試算 調査結果を発表

 県国際リニアコライダー(ILC)推進協議会(会長・谷村邦久県商工会議所連合会長)は30日、ILCの日本誘致が実現した場合の経済波及効果調査結果を報告書にまとめて発表した。基盤技術(加速器関連技術)の発展・利用による産業の波及効果として国内の経済波及効果(最終需要額)を20年間で3兆100億円、生産誘発額を同じく5兆7200億円と試算。谷村会長は「地元の受け入れ態勢整備に向けた努力の積み重ねが政府判断に結び付くよう活用したい」と力を込めた。

 報告書は、国と国民の理解を促進し、国と地方の成長戦略として位置付けられ、関連する産業・企業等の積極的な参画を促す目的で作成。ILC建設による基盤技術の波及効果が時間とともに段階的に幅広い分野に及ぶことを表した図も提示した。

 公的な調査で示された「建設・運転時の装置等製造による直接効果」など従来の3項目に、社会的な意義も含めるため「基盤技術の発展・利用による産業の波及効果」など3項目を追加した。

 基盤技術の発展・利用による波及効果は、加速機の産業利用による直接的製品算出額が大型研究施設への投資の積算に比例すると仮定し、利用産業に波及する効果を試算した。

 世界の研究機関の投資総額の伸び率から係数を算出。ILCの建設10年の波及効果が8639億円、建設10年と運用10年で3兆106億円と試算。さらに国の波及効果乗数を用いて概算した20年間の生産誘発額は5兆7190億円となった。

 6月に文部科学省の有識者会議で示された波及効果額の2倍強になるが「直接の投資額ではなく、投資がどのように拡大していくかを算出した」。

 地方創生に向け、自動車、半導体など加速器関連産業約700事業所が集積する東北エリアの新たな中核産業として推進。研究者などの居住者や国際学会など来訪者の消費支出額を合わせた民間投資効果は約4000億円を見込む。

 調査は、同協議会が2016年に設置したイノベーション・経済波及効果調査委員会(委員長・鈴木厚人県立大学長)が全国の各分野の専門家と連携して取りまとめた。

 鈴木委員長は「リニアコライダーは30年、50年と時間をかけて波及していく。また建設したから効果が出るのではなく努力が必要。国際拠点を基盤に地域主体の地方創生、まちづくりに取り組むことが大事」と語った。

 谷村会長は「ILCは産業のみならず多方面に時間とともに波及効果が高まる。ILCがもたらすイノベーションを自治体や企業などがいかに戦略的に取り込んで実行していくかが重要だ」と述べた。

 本県誘致には次期欧州素粒子物理5カ年計画が策定される12月までに日本政府が前向きな姿勢を示すことが不可欠。谷村会長は「報告書は政府にとって一つの参考資料にはなると思う。要望の際の材料としたい」とした。

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