奥州・金ケ崎

南部鉄器発信に弾み 東北経産局地産資源活用 「及富」茶器開発を認定【奥州】

新たな取り組みが地域産業資源活用事業計画として認定された菊地専務(中央)ら及富の関係者

 南部鉄器を製造販売する奥州市水沢羽田町の「及富」(及川一郎代表取締役社長)の新たな取り組みが、東北経済産業局の地域産業資源活用事業計画として認定され、12日に市役所で認定書が交付された。同社では、伝統技術に加えて3次元(3D)デジタル技術を活用し、使いやすさとファッション性を融合した新たなティーポットなど茶器の開発に取り組む。若者を次世代の顧客として掘り起こし、国内外市場の需要拡大を目指す。

 関係者12人が出席した認定式で、東北経済産業局産業部の佐久間恵二部長が同社の菊地章専務取締役に認定書を交付。菊地専務は「先端技術と伝統技術を合わせて、お客さまに愛される商品を作っていきたい。170年にわたって仕事を続けてきたが、果たすべき使命を持ちながらさらに100年続けたい」と述べた。佐久間部長は「今回の取り組みを成功に結び付け、業界の先駆者として活躍してほしい。南部鉄器のさらなるブランド力の向上を目指すとともに、古里の名物として国内外に発信し、地域活性化に貢献してほしい」と話した。

 認定を受けた事業は「3Dデジタル技術を活用しユーザビリティーとファッション性を融合させた若年層向け南部鉄器製ティーウエアの開発・需要拡大事業」。3Dデジタル技術を活用することでより複雑なデザインに対応でき、デザイン・設計から鋳造までの一貫製造の時間を短縮できる。菊地専務は「日本製のデザイン・品質の良さをはじめ、リクエストに対するリピートが早いことが欠かせないポイント」とし、シンガポールやベトナム、マレーシア、台湾などの海外市場も視野に入れている。

 同社は既に10月にプロジェクト推進室を新設。地元高校生への3D技術の指導・研修をはじめインターンシップなどで若手技術者の育成に貢献していく。地域内の業界他社への波及効果、業界全体のイメージアップによる後継者育成などが期待されている。

 同計画の認定を受けた中小企業は、専門家によるアドバイスのほか、試作品開発や販路開拓に対する補助金、中小企業信用保険法の特例、政府系金融機関による低利融資などの支援を受けることができる。県内で18件目、同市では3件目の認定。

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