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構造や地形 直観的に 岩手県と県立大 ILC―VRシステム開発

ILCの構造や地形、地層などを直観的に見ることができるVR技術を使った映像(県立大提供)

 県と県立大は、北上山地の地下に建設計画がある次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について幅広い世代に理解を広めようと、施設の構造や地形、地層などを直観的に見ることができるバーチャル・リアリティー(VR)技術を使った映像システムを制作した。

 今回制作したVR映像は、箱庭状の立体的な地形図を外から眺めるような構成。北上山地の地形、地下に建設される加速器施設、ILC建設適地とされる安定した花こう岩の分布など四つの層の映像が、ゴーグルのように顔面に装着するディスプレーに映る。

 ゴーグルを装着した体験者がしゃがみ込んで地層の中から加速器施設、さらには地上を見上げたり、空から見下ろしたり、物理的に不可能な体験もこのシステムだと可能だ。

 さらに両手に持つコントローラーを操作することで北上山地の自治体の基礎情報や中尊寺金色堂、猊鼻渓(げいびけい)、厳美渓など景勝地、県外での公開も想定して交通アクセスなど、20余りの情報も知ることができる。

 県と県立大は2016年12月にILC-VRシステムの開発に着手。さまざまな場所で公開し、体験してもらいながら改良を重ね、今年度に入ってから子供の目線に合わせた機能を付け加えることで幅広い年代層の体験に対応できるようになった。

 開発を手掛けた県立大ソフトウェア情報学部の伊藤久祥講師によると、正確なデータを用いることで地形や加速器トンネルの形状を忠実に再現、初めて体験する人でも迷わず使えるように留意したという。

 VRシステムは今後、各種イベントでPRに活用。県科学ILC推進室の植野歩未ILC推進課長は「ILCがどこにでき、どんな実験が行われるのか、どうして建設候補地に選ばれたのかが分かる映像。多くの人に見てもらいたい」と話している。

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