一関・平泉

阿部さん(一関高専専攻科2年)年会賞 日本加速器学会ポスター部門 ILC実現へ

模型を使って調整の精度を確認する阿部さん(左)と藤原准教授
高専生初、共同研究に栄誉

 一関工業高等専門学校専攻科2年の阿部優樹さん(21)は、第15回日本加速器学会年会(8月7~10日、新潟県長岡市)のポスター部門で年会賞に輝いた。北上山地(北上高地)で建設計画がある次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の関連分野における共同研究の成果が認められた。高専学生による年会賞は初めてで、同校ではILC誘致実現への弾みになってほしいと期待を寄せている。

 年会賞は、同学会が学生や若手研究者を奨励するため、年会会期中に口頭またはポスターにまとめて行った発表のうち、優れた内容をたたえる制度。ポスター部門では、今回299人が発表し、「ILCクライオモジュール用位置調整機構『アクティブムーバ』の開発」をテーマに発表した阿部さんら7人に輝いた。

 ILC内の超伝導加速空洞で電子と陽電子を衝突させて宇宙の始まりの解明に取り組む上で、衝突精度を高めるためには超伝導加速空洞を内蔵する断熱装置(クライオモジュール)の精密な接続が重要となる。

 そのため阿部さんは、同校の先輩や指導教官、東邦テクノス(一関市滝沢)、NECプラットフォームズ(同市柄貝)の社員らと2016年から遠隔で位置を調整できる装置・アクティブムーバの開発に着手。筒型のクライオモジュールを鉛直方向(上下)や水平方向(左右)に移動させるには、10マイクロメートル(1ミリの100分の1)単位での調整できる性能を目指して取り組んできた。

 今回は、回転運動を直線運動に変えるカムという機械を使い、二つのカムを連動させて上下左右に動かす「2カム方式」と上下と左右をそれぞれ独立で動かす「2軸方式」の二つの方式を採用して取り組んできた共同研究の内容を発表した。

 7分の1スケールの模型で両方式とも検証した結果、いずれも当初の見通しを上回り、誤差も1マイクロメートル以下に抑えることに成功した。現在は実寸大での開発を進めているという。

 阿部さんは「全国規模の学会で評価していただき非常に光栄。自分一人ではなくチーム全員のおかげ」と感謝。指導教官の藤原康宣准教授(46)は「産学官連携のモデルケースとしての評価も頂いており、ILCを誘致する地元で受賞できたのは大きい」と語った。

momottoメモ

 中学生を対象にした一関市の2018年度ILC特別授業が始まった。初日は室根、藤沢両校で行われ、科学に興味を持つきっかけを提供。今年度は14校で開かれる。

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