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学校安全充実期す 岩手大でシンポ 防災・復興教育発表

復興教育の事例発表などを通じ、参加者が学校安全の充実へ意識を高めた岩手大の学校安全学シンポジウム

 岩手大は3日、教育現場で事件や事故、災害が発生した際に児童生徒の命を守るための知識を習得する「学校安全学」をテーマにしたシンポジウムを盛岡市上田の同大で開催した。参加者が防災・復興教育に関する事例発表や基調講演を通じ、学校安全のさらなる充実へ意識を高めた。

 同大では、大学の教員養成課程で「学校安全への対応」が導入されることを踏まえ、2019年度から「学校安全学」を教育学部の必修科目として開設する。シンポジウムは現役の教員らにも同科目の重要性を広める目的で開催し、教育関係者や学生ら約250人が参加した。

 基調講演では、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育調査官の吉門直子氏が、学校安全の現状について説明。交通事故や災害に関する安全教育のほか、今後は学校への犯罪予告やテロ、ミサイル発射などの新たな危機事象にも備える必要があると注意喚起し、「児童生徒自身に生き抜くことや、安全な社会をつくるための知恵と行動力を身に付けさせることが重要だ」と訴えた。

 講演に続き、岩泉町立門小学校副校長の佐藤修、大船渡市立日頃市中学校前校長の村上洋子、県立久慈東高校教諭の菅原彩の3氏が、各校の取り組みについて発表した。このうち菅原氏は、東日本大震災で津波被害を受けた宮古市田老地区との連携・交流事業を紹介。同地区の高齢者とのレクリエーションや震災遺構となった観光ホテルなどの見学を通じ、「生徒たちの支援する側としての意識や、復興への思いの高まりが感じられた」と成果を語った。

 今後の課題として▽学校全体でバックアップする▽単発で終わらせない▽活動に多様性を持たせる―などを挙げ、「学校の枠だけの地域参加ではなく、生活や人生に根差した防災・復興教育を目指していく」と語った。

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