奥州・金ケ崎

耐震補強「実施できず」 奥州市議会特別委 水沢病院 市長、医療局と再協議

 奥州市議会の新市立病院建設調査特別委員会(髙橋政一委員長)は7日、市役所で開かれた。建物の一部に耐震強度不足が指摘されている市総合水沢病院の人的安全確保に向けた応急的措置補強について、「効果が不明確で、工事期間中は病院機能の維持ができないため、実施できないと判断する」との医療局の見解を受け、小沢昌記市長は「このまま工事を進めるのは難しい。医療局と検討を進めたい」と打開策を探る考えを示した。

 市は、2021年度の開院を目指す新病院の建設計画が少なくとも1年遅れる見通しとなったことから、病院建て替え完了までに地震発生時の病院の崩壊・崩落を防ぎ、入院患者や職員らの人命を守るため、危険な柱の強度を増す柱巻き補強や筋交いなどによる応急的措置補強を提案した。

 医療局が、同病院を設計した会社に詳細調査業務実施の可能性について問い合わせたところ、構造耐震指標のIS値0・6を満たさないままでは施設の安全性が保証されないとともに、本館の診察機能や透析室など工事期間中は病院機能が維持できないとして、「応急的措置補強工事は実施できないと判断する」とする見解を今月5日に小沢市長に通知した。

 これを受け、小沢市長は「もう一度、医療局に足を運び、どのような打開策があるか話し合いたい」との考えを示した。

 また、同病院小児科長の半井潔院長が今年12月末で退職を予定していることについて、医療局は小児科医療の今後の方向性を説明。小児科は常勤医師の半井院長1人と非常勤医師2人の状況で、非常勤医師2人は今月末で終了予定。外来と入院は今月30日までとし、以降は休診する見通しを明らかにした。12月は他の病院への紹介状の作成業務を行うとした。

 小沢市長は、各方面に小児科医師の招聘(しょうへい)、派遣を要請していることを説明した上で、「あらゆる手立てを持って小児科医の招聘に精力的に動きたい。医療局との連携をさらに深め、医師招聘に努力していく」と述べた。

 この中で、柏山徹郎病院事業管理者は、内科の常勤医師4人のうち、2人が退職の意向を示していることを明らかにし、「市全体で医療政策を考えるべき問題」と危機感をあらわにした。同病院の常勤医師は現在16人で、3人が退職した場合は2019年度は13人体制となる。

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