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「単年度収支均衡」は維持 岩手競馬の存続条件 禁止薬物問題で知事

 岩手競馬の出走馬から3例目の禁止薬物が検出された問題について、県競馬組合の管理者を務める達増拓也知事は8日の定例記者会見で、レース自粛による損失を踏まえた上での同競馬の存続条件である「単年度収支均衡」について、これまでもコスト調整により黒字を確保してきたとし、「原則は変えない」と現在の存続条件を維持する考えを明らかにした。

 再発防止策を講じる中で、3頭目の薬物陽性馬が発生したことには「7月の1頭目、9月の2頭目の発生を受けて再発防止策を講じてきたが、それにもかかわらず、3頭目の陽性馬が発生したことは極めて残念だ」と述べた。

 管理者としての責任を問われると「早急に再発防止策の実効性を確保してさらなる強化を図り、公正な競馬を実施できる体制を早期に構築することが、管理者以下競馬組合の務めだ。予定通りの日程で開催できなくなり、ファンの皆さん、競馬関係者、県民におわびしなければならない」と陳謝した。

 岩手競馬では多額の累積赤字を抱え、2006年度に赤字を出さない「単年度収支均衡」を条件に、構成団体となる県と盛岡、奥州両市から330億円の融資を受けた。16年度には、初めて県など構成団体に対する融資の一部返済も実現した。

 同組合は、2頭目の発生を受け再発防止策として補正予算1億円を計上し、財政調整基金残高は1億4900万円に減少した。3頭目の発生により、自粛する10~12日のレースの損失額は7900万円となる。

 達増知事はあくまでも存続条件の維持を明言した上で、「単年度でも黒字にすることが岩手競馬の原則。現段階で原則を変える予定もないし、コスト調整を行う準備もしていない」と強調した。

きょう全厩舎立ち入り検査 県競馬組合

 県競馬組合(管理者・達増拓也知事)は、岩手競馬の出走馬から夏以降3例目の禁止薬物が検出された問題を受け、水沢、盛岡両競馬場の全厩舎(きゅうしゃ)を9日に立ち入り検査する。同日は県競馬組合議会にも経緯を説明する。

 同組合によると、立ち入り検査は水沢26厩舎、盛岡11厩舎の全棟が対象。同組合職員、獣医、騎調会、厩務員会代表らが3班編成で手分けして一斉に立ち入る。

 立ち入り検査はシーズン前の毎年3月に実施している。今季は7月末の最初の禁止薬物陽性馬発生を受けて8月9日にも実施した。9月の2例目発生後は、再発防止対策チームが10月5日に禁止薬物陽性馬が所属する水沢競馬場内を現地調査したが、改めて不適箇所の有無などを確認する。

 また県競馬組合議会議員懇談会を9日に盛岡市内で開き、組合側が経緯や10日以降の競馬開催自粛、再発防止策の強化内容などを説明して意見を聴く予定。

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