奥州・金ケ崎

紅葉の境内で争奪戦 黒石寺で蘇民祭行事 本番前に一部体験【奥州】

蘇民袋争奪戦など蘇民祭の一部を体験する子供たち

 「興味津々・蘇民祭!子供ちょこっと体験&大人まじ体験in黒石寺2nd」(岩手の蘇民祭保存会主催)は18日、奥州市水沢の黒石寺で行われ、県内外の20人が蘇民祭の一部を体験した。蘇民祭は県南地方で厳寒の未明に行われる祭りだが、同日は紅葉の境内で日中に水垢離(みずごり)や蘇民袋争奪戦を繰り広げ、参加者は「本番もぜひ参加したい」と口々に話した。

 同保存会(高橋君夫会長)は県南5市町で行われている11の蘇民祭の保存会が結成。体験会は県の「いわて若者アイディア実現補助事業」に採択され、2017年に続いて2回目。県内をはじめ、新潟県や関東地方各地から大人15人(男11人、女4人)、子供5人が参加した。

 体験会で藤波大吾住職は蘇民袋が蘇民将来伝説に出てくる「茅(ち)の輪」と同じと紹介。祭り前1週間の精進については「精進は引き算のようなもの。普段自分がどのように足し算をしてきたかが分かる。良い悪いではなく、自分がどう思うか、感じるかを大事にしてほしい」と語った。

 その後、参加者は古代米の赤飯、サツマイモやレンコンの天ぷら、揚げ出し豆腐、白あえといった精進料理を試食。下帯姿となって夏参り(水垢離)、参道の祓(はら)い、争奪戦を体験した。

 争奪戦では「子供」は菊池颯太君(12)=岩谷堂小学校6年=が2年連続で一番取主。菊池君は取主になるこつは「諦めないこと」といい、「蘇民祭は見ていてわくわくする。大人になったらやりたい」とたくましく語った。

 「大人」の一番取主は一関市藤沢町の山口博さん(48)で、「4年前に見て『これはすごい』と思い、急にやりたいと思った。取主は初めてでうれしい」と喜んでいた。また、新潟県燕市の三浦幸蔵さん(45)は「仕事で平日は参加できないが、各地の蘇民祭に参加している。無になれるのがよい。そして祭りに参加すると無病息災で過ごせます」と話していた。

 高橋会長は「少子化の影響で出る人が少なくなった。長く続けていくために興味を持ってもらおうと体験会を開いている。本番にもぜひ参加してもらって盛り上げてほしい」と期待していた。

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