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JR盛岡支社 安全な輸送確保へ 工事訓練シミュレーター導入 社員の対応力強化

VRを活用した訓練で線路閉鎖工事のポイントを再確認する社員

 JR盛岡支社(石田亨支社長)は、鉄道事故の防止に向け、工事訓練シミュレーターを導入した。電子モニターやVR(仮想現実)を活用して作業現場を再現。踏切故障などさまざまな危機的状況を体験することで工事に携わる社員の対応力を強化し、安全な交通輸送につなげる。2019年度から本格運用する予定だ。

 同支社では、安全・安定輸送のレベルアップを目的に、昨年度から乗務員向けシミュレーターを導入。車掌や運転士といった乗務員が、人身事故など走行中の異常時対応訓練をはじめ、ドア挟まれや車両故障などのトラブルに対応するための訓練に取り組んでいる。

 10月には、設備関係の工事に携わる社員向けの訓練シミュレーターを新たに導入。列車防護訓練用、線路閉鎖工事手続き訓練用、停電工事手続き訓練用の3種類で、盛岡市のJR盛岡支社ビルで試験運用されている。

 このうち列車防護訓練シミュレーターは、モニターに線路内作業の様子が映し出され、踏切故障や線路陥没、駅利用客の転落など、さまざまな危機的場面が再現される。作業員を迅速に退避させた上で非常用ボタンを押し、列車に向かって旗を振りながら異常を知らせる一連の流れを、緊張感を持って一から確認できる。

 また、線路閉鎖工事手続き訓練シミュレーターは、VRの専用機器を装着することで、実際の工事現場に従事しているかのような感覚を体感できる。14年にJR川崎駅で発生した列車事故の現場を再現し、事故発生前の工事作業の手順をクイズ形式で出題。回答を誤ると列車事故が発生するシステムで、作業中の判断ミスがどのような危険を招くのかを学ぶことができる。

 工事シミュレーターは、来年度から新入社員研修などで本格運用される見通し。同支社設備部の安部哲也企画課長は「現場の実態に近い状況で訓練することで、大きな成果が得られる。社員の安全意識向上に役立てたい」と語っていた。

▲訓練シミュレーターを活用し、工事作業中に異常が発生した際の対応を確認する社員

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