ILC誘致支持せず 政府判断「慎重にすべき」 学術会議、文科省へ回答
【東京・北村亮】次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致の可否について文部科学省から依頼を受けて審議してきた日本学術会議は19日、文科省に対し所見をまとめて回答した。誘致に関してはILCの科学的意義を認めつつも、巨額な建設費用に加え国際的な経費分担が明確になっていないことを指摘し「誘致を支持するには至らなかった」と結論付けた。政府に対しても慎重に判断するよう求めており、推進派にとっては極めて厳しい結果となった。
学術会議ではILCを従来の約30キロから20キロに縮小する計画の見直し案が示されたことに伴い、文科省から審議依頼を受けて検討委員会を設置。8月から専門家を招いてヒアリングを行うなど協議を重ねて回答案をまとめた。
同日は学術会議の幹事会が東京都内で開かれ、検討委がまとめた回答案を承認し正式に決定。検討委の家泰弘委員長(日本学術振興会理事)が文科省を訪れ、磯谷桂介研究振興局長に回答を手渡した。