北上・西和賀

新製造棟 今秋竣工 来春稼働へ着々 東芝メモリ 北上 総投資額1兆円超

今秋の竣工、来春の本格稼働へ着々と工事が進む東芝メモリ新製造棟=北上市北工業団地

 北上市北工業団地に立地する半導体製造大手・東芝メモリ(本社東京都港区、成毛康雄社長)の新製造棟は今秋の竣工(しゅんこう)、2020年春の本格稼働開始へ順調に工事が進められている。関連会社の進出も相次ぎ、市も北上工業団地拡張事業、周辺道路などのインフラを着々と整備。最終的な総投資額1兆円超、雇用は1000人以上となる一大プロジェクトが大きく加速する1年になりそうだ。

 新製造棟は18年7月に着工。高さ約50メートルの鉄骨造り5階建てで、延べ床面積約20万平方メートルもの巨大な建物となり、半導体記憶装置・3次元フラッシュメモリを大量生産する。

 連日、頻繁に工事関係車両が出入りし急ピッチで工事が行われ、同社経営企画部は「工事は計画通り進んでいる」と強調。今春から順次、完成した部分に設備を搬入していく計画だ。

 19年度の雇用は、今春卒業予定の高校生223人、大卒など(短大、高専、専門学校、修士課程含む)51人の採用が内定。中途は入社済みを含み4月までに130人ほどを採用予定で、三重県の四日市工場から約300人の出向が見込まれる。単純計算では現社員を含め700人を超えるとみられる。技術系を中心に人員はまだ不足しており、同社は今年も人材確保へ全力を注ぐ。

 関連会社は装置のメンテナンス保守、ガス薬液、空調設備、水処理装置洗浄など北上市と周辺に5社が立地を決定。東芝メモリは生産拡大が進めば20~30社程度を見込んでおり、今後も進出が相次ぎそうだ。

 市は北上工業団地拡張事業を着々と進め、順調にいけば第1、第2次拡張エリア13・3ヘクタールは今年8月、第3次拡張エリア6・9ヘクタールは20年3月の造成工事完了を見込む。

 周辺市道で幹線路となる東部道路新設工事、宿成田線拡幅工事はいずれも19年度内に本格着工し、20年度中の完成を目指す。交通円滑化、渋滞緩和へ右折レーン設置や環状交差点を整備し、関係機関には信号機2カ所の設置を要望する。

 市は、これらインフラ整備に総額44億円を投じる。高橋剛企業立地課長は「企業ニーズに応えられるようインフラを盤石に整備し、スピード感を持って対応していく。渋滞対策も随時、現況を捉えながら整備していきたい」と話している。

 東芝メモリは、市場の動向を見ながら北上に追加投資し第2棟、第3棟の建設も検討する方針。その場合は、現在同社の主力である四日市工場と同規模となる可能性もある。

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