奥州・金ケ崎

どんな乗客にも対応 水沢タクシー高橋代表取締役 UD取り組み推進【奥州】

多言語に対応した指さしコミュニケーションなど、タクシーのUD化を進める高橋代表取締役
業界のサービス向上へ

 奥州市水沢の水沢タクシー(高橋十一代表取締役)が全乗務員をユニバーサルドライバーにして5年。同社ではソフト、ハード両面の社内環境を整え、どんな乗客にも対応できるタクシーを目指している。同業者を巻き込みながら、地域全体としてのレベルアップを目指している取り組みの状況を高橋代表取締役(63)に聞いた。

 同社がユニバーサルドライバーに取り組むきっかけは、乗務員の資質向上だった。規制緩和により、1995年以降タクシー業界は需要が落ち込んでいるという。それに伴い、業界では事故多発、駐車違反、違法な客待ち、乗務員給与の低下など負の連鎖も招き、資質向上は必須の状況だった。

 そうした中、ドアサービス、おつかいタクシーをうたったサービス競争が激化。この中で登場した介護タクシーは、介護保険が適用されることから利用者にとって負担の少ない移動手段として注目された。

 同社でも介護タクシー事業を検討した時期はあったが、ケアマネジャーの配置やヘルパー資格が必要、一般客は利用不可になるなど、「介護のみに特化したサービス」として実施しない方針を立てた。

 ただ高齢化への対応など福祉分野は、需要増が見込めることは間違いないとし、特化しない取り組みへの模索を続ける中、全国組織によるユニバーサルドライバーの取り組みを知り、「これだ」と思った。介護タクシーのように利用者が限定されず、従業員全員で対応できるとして進めた。

 社員研修でソフト面は整い、2015年に大型ワゴンでスタート。その後、トヨタが普通車料金で利用できるサイズの「ジャパンタクシー」を発売したことから導入を進めた。

 ユニバーサルデザイン(UD)を検討する中、子育てタクシーに取り組み、18年1月から市の事業がスタート。子育てタクシーの登録者は昨年末で64人。産科がないため妊産婦の移動を支援する仕組みが必要だと実感した。

 子育ての利用者から「タクシーの受け付けは24時間対応ですか?」と尋ねられ、「昔は24時間が当たり前と知られていたが今は知らない人がいる」と痛感。「タクシーを使う場面が減っている。利用者の変化に業界が気付いていなかった。規制緩和は弊害もあったが、良い方向になったのではないか」と評価している。

 公共交通機関としてのタクシーへの期待は、市の公共交通体系の中でも大きくなっている。バスの路線がなくなった地域の足としてのデマンドタクシーが増える見込みだ。ただ「バスとタクシーの違いもあって利用者の負担は大きくなる。負担増や必要性などについて市とタクシー事業者、利用者の3者でしっかりとした議論を重ね、納得して始めることが必要だ」と語る。

 ユニバーサルドライバーへの取り組みの肝は、支援が必要な人たちだけでなく一般の人たちにとっても利用しやすいことだと強調する。広めていかなければならない、と自身が昨年4月から支部長を務めている県タクシー協会胆江支部でも研修を行い、18年末までに支部内8社で48人(うち水沢タクシー29人)がユニバーサルドライバーに認定されている。子育てタクシー認定乗務員は、支部内で29人(同15人)となっている。

 乗務員の研修のほか、同支部ではUDへの取り組みとして、乗り場看板の多言語化、指さしコミュニケーションシート、衛生セットの配備などを進めている。

 「医療や子育ての課題を業界でカバーしなくては」とし、今後に向けて「UDへの取り組みはタクシーのサービスの原点と捉えている。これが当たり前になることが理想」と考えている。対価を得ている以上は「常に上のサービスが求められる」と肝に銘じている。

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