奥州・金ケ崎

通訳介し病状正確に 多言語対応訓練 外国人参加、手順確認【奥州】

多言語通訳対応訓練で、通訳を介した傷病者(中央)の状態把握を行う救急隊員

 日本語が話せない外国人からの救急要請に迅速に応えるべく、奥州金ケ崎行政事務組合消防本部(阿部保之消防長)は10日、奥州市水沢大鐘町2丁目の同本部で多言語通訳対応訓練を行った。コールセンター(通訳オペレーター)を介した119番通報や現場活動の流れを実践し、的確な消防活動に向けたスキルアップを図った。

 災害弱者になりかねない外国人住民に加え、観光などで管内を訪れる外国人の増加が予想されることから、緊急時の対応力を高めようと実施。同本部の職員約10人と、協賛の市国際交流協会から藤波大吾さん、市内在住の外国人らが参加した。

 同本部の消防通信指令業務を運用する県央消防指令センターは、2017年10月から英語や中国語、ポルトガル語など5言語に対応した多言語通訳サービスを導入している。外国語での通報があった場合、民間のコールセンターにつなぎ3者間の通話による同時通訳で事態への対処に当たっている。

 訓練は自宅で腹痛を発症(中国語)、屋外で転倒し負傷(英語)の二つを想定し、外国人2人が119番通報。受けた職員がコールセンターと接続しながら名前や住所、病状などを聞き取った。駆け付けた救急隊員も通訳を介した質問で、傷病者の状態把握から搬送までの手順を確かめた。

 参加した中国出身の女性は「この体験は大事な経験になったし、万一の場合にはとても役立つと思う」と実感。水沢消防署衣川分署の郷右近利昌消防司令補は「ある程度はイメージ通りにできたが、どうしても時間がかかってしまう部分はある」と検討事項を示した。

 訓練を見守った藤波さんは「電話は相手が見られないだけに、通訳にどのように話を振るかが難しい部分。できるだけシンプルな言葉で伝えることがやり取りのこつではないか」と助言した。

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