寒に耐え甘く 北上・雪下ニンジン収穫【いわて瞬感】
多雪地域の北上市内で、雪の下の大地から掘り起こす「雪下ニンジン」の収穫作業が本格化している。甘さとうま味を増したオレンジ色が土をまとって真っ白な雪の上に掘り起こされ、次々と出荷されている。
同市相去町の農業生産法人・クレアクロップス(馬場一輝社長)では、今シーズンから本格的に雪下ニンジンの生産を開始。通常であれば秋に収穫するニンジンを、畑に置いたままにして葉が枯れ雪が積もるのを待つ。すると、ニンジン自身が凍結を防ごうと糖度を高め、うま味も増すという植物の生態を利用した産物で、昨年12月に収穫を始めた。
1日300~700キロ収穫し、同市内の給食センターやスーパー、金ケ崎町の岩手県南青果市場に出荷している。
18日は馬場社長含め従業員6人が、雪交じりの寒風が吹きすさぶ畑に入り、機械を使って20センチほどの積雪を除雪したり、土をほぐしたりした後、スコップや素手でニンジンを掘り起こしコンテナに積み込む作業に追われた。
今冬は雪が少なめながらも常時20センチ以上は積もっており、ニンジンの糖度は通常の物より4度ほど高い10度前後になるという。子供たちのニンジン嫌いを克服してもらおうと取り組みを始めた馬場社長(33)は「甘味やうま味の向こう側に岩手の大地や風土を感じてほしい」とアピールする。
雪の残る3月ごろまでは出荷する見通しで、今シーズンは80トンの収穫を目標にしている。