一関・平泉

「文学の蔵」修復終え再開 設立尽力の及川さん追悼展も【一関】

東日本大震災で被災し、工事を終えて再開した「いちのせき文学の蔵」。中央では及川和男さんの追悼展が開かれている

 一関市田村町の世嬉の一酒の民俗文化博物館内「いちのせき文学の蔵」は、2017年10月の休館以来1年6カ月ぶりに再開した。東日本大震災などによる被害の修復工事を終え、公開された一関ゆかりの作家など12人を紹介する資料が来館者の注目を集めている。

 いちのせき文学の蔵は、日本一小さな文学館ともいわれ、約30平方メートルのギャラリーに島崎藤村、井上ひさし、三好京三らの作家や詩人、俳人など12人のコーナーを設け、著書や原稿などを展示している。

 文学館がある土蔵は1918(大正7)年から築100年余りたつ年代物で、2011年の震災で被災し、柱の入れ替えや外壁の修復、耐震補強工事が行われた。当初は16年から1年半ほどの予定だったが、工事が進むにつれて古さ故の不具合などがあり、工期延長を余儀なくされていた。

 全ての修繕が終わり、再開したのは1日。大型連休中とあって大勢の観光客が訪れ、「すごい作家の原稿がある」「こんなゆかりがあるのか」などと資料を眺める人の姿が見られた。

 再開と同時に、同文学館の設立に尽力し、3月10日に85歳で他界した一関・文学の蔵会長の作家及川和男さんの追悼展が始まった。館内中央に著書をはじめ、17年度市勢功労者となった紹介文、訃報を受けた新聞記事などが陳列されている。

 世嬉の一酒造相談役で同文学館館長を務める佐藤晄僖さん(77)は「蔵の一部を取り壊す必要が出たため、休館せざるを得なかった。及川先生は再開を見ないまま亡くなられて残念だったのではないか」と振り返り、「及川先生が発案した“心の街起こし”というキャッチフレーズを若い人へと引き継ぎ、芽を絶やさないようにしたい」と語っている。開館時間は午前10時~午後5時。年末年始は休館。入館無料。

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