北上・西和賀

全体の1割貧困層 北上市 子どもの生活実態調査 ひとり親世帯33%

 北上市は、市内の就学前5歳児、小学5年生、中学2年生の保護者、児童生徒、18歳以下のひとり親家庭の保護者らを対象に初めて実施した「子どもの生活実態調査」の結果をまとめた。国が定義する貧困世帯の「所得層Ⅰ」(貧困層)は3学年全体で1割程度で、貧困世帯の3分の1がひとり親世帯だった。市は課題を共有し、今後の対策を検討していく。

 調査結果によると、所得層Ⅰに該当した世帯は5歳児が8・9%、小5は11・0%、中2が8・7%。全体で9・6%が貧困層とされ、該当世帯のうち33・1%がひとり親世帯だった。

 国が調査した子供の貧困率は2015年で13・9%。市子育て支援課は「国と同じ手法の調査ではなく、単純比較はできないが、貧困層が1割程度いるのは事実だ」とする。

 保護者が子供に望む最終学歴を「大学またはそれ以上」とする回答は所得層Ⅰが21・2%で、貧困層以外の「所得層Ⅱ」(39・8%)の約半数。児童生徒に授業の理解度を問う質問では「分からないことが多い」「分からない」と答えた割合は小5、中2とも所得層Ⅰが所得層Ⅱを上回った。

 「頑張れば報われる」と思う児童生徒の気持ちも、所得層Ⅰが所得層Ⅱを下回る状況。「学校に行きたくない」と思ったことが「よくあった」「時々あった」と答えた所得層Ⅰの小5は52・3%、中2は67・3%。所得層Ⅱよりも小5で11・8ポイント、中2で20・9ポイント高かった。

 過去1年間に食料を買えなかった経験が「よくあった」「時々あった」「まれにあった」と答えた所得層Ⅰは40・4%で、同じ趣旨の衣類購入の設問も39・7%。ともに所得層Ⅱの倍以上に上った。保護者の雇用状況も所得層Ⅰは正社員、正職員の割合が所得層Ⅱより低くなっている。

 市は「学習意欲、授業の理解度、自己肯定感について親の経済状況が一定程度影響し、経済的理由から進学を諦めている世帯も一定数いると考えられる」(同課)と分析。ひとり親世帯などの親の中3当時の暮らし向き(ゆとり)や成績も、調査対象全体に比べ低い傾向で「相関関係がうかがえる」という。ひとり親、保護世帯は時間に余裕がなく、子供を病院に連れて行くことが難しかったり、朝食を食べる習慣がない割合が高い傾向だった。

 調査結果を踏まえ、市は「困窮世帯への生活、経済的、就労の支援に加え、児童生徒には家庭の経済状況にかかわらず安心して希望する高等教育を受けられるよう支えが必要だ」と強調。支援制度の認知度も低く、制度の周知や各世帯の状況に寄り添う相談体制の充実の必要性を挙げる。

 市は17年12月に担当部課長らによる「子どもの貧困対策に関する研究会議」を設置。導入済みの支援策もある一方、新たに必要な施策もあるとし「学校や関係団体、地域の協力を得ながら、子供が生まれ育った環境によって将来を左右されないよう多方面にわたる支援が必要だ」としている。

北上市子どもの生活実態調査結果

 市は子どもの生活実態を多角的に調査し、貧困世帯の詳細を捉え市全体で課題を共有し、効果的な施策に結び付けようと2018年2、3月に調査。就学前5歳児、小5、中2の保護者と小5、中2の全児童生徒、18歳以下の子がいるひとり親家庭の保護者、準要保護・生活保護世帯を対象に実施した。5133件配布し3272件が回答、回収率は63・7%。世帯人数で調整した可処分所得122万円を基準額とし、それ以上を所得層Ⅱ、基準額未満を所得層Ⅰの貧困層とした。

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