クロジカせんべい 売り上げ順調 復興、三鉄黒字化願い【西和賀】
東日本大震災で甚大な被害を受けた県など出資の第三セクター三陸鉄道(本社宮古市)が、リアス線開業に合わせて販売しているせんべい「クロジカせんべい」。発売から3カ月が経過し、ゴールデンウイーク(GW)を挟んだこともあり順調に売り上げを伸ばしている。商品を製造・納入する西和賀町の菓子製造販売業・サンタランドは「沿岸の復興と三鉄の黒字化に役立ってほしい」との願いを込め、フル回転で生産を続けている。
経営の黒字化達成への願いを込め2月21日に発売された「クロジカせんべい」。JRから山田線宮古―釜石間の移管を受け、三鉄がリアス線全線(延長163キロ)の開業を3月23日に控えていた時期。日本一長い第三セクター鉄道の維持管理費に加え、三陸沿岸の人口減少に対する心配などから、多くの人に応援してもらおうと黒字化になぞらえて命名した。
商品はしょうゆ味と塩味の2種類。しょうゆ味は県産の雑穀と普代村産すき昆布を素材に香ばしくサクサクとした食感に仕上げ、塩味は三陸産イサダとワカメに宮古市産の塩で三陸の風味が楽しめる一品となっている。商品デザインには、有志でつくる「三陸鉄道を勝手に応援する会」のキャラクター「クロジカくん」を起用した。
業績改善を目指し両社は、県産などの発芽玄米や三陸産のすき昆布を原料にした「きっと芽がでるせんべい」を、大震災が発生した2011年の前後に販売したつながりがある。
三鉄は「GWを中心に県内外からお土産などとしてたくさんお買い求めいただいている。ネーミングやマスコミ報道などもあり発売から順調に売り上げを伸ばしており、ありがたい。地元とのコラボ商品として会社を代表する商品に成長させたい」と期待。製造を手掛けるサンタランドの高橋文和社長(60)は「大震災から8年が過ぎ、沿岸部の被害の甚大さを考えると本県沿岸部が一本の鉄路でつながったことは復興を感じることのできる大きな前進。三鉄の経営にせんべい製造を通じてできるだけ協力し、少しでも復興の役に立ちたい」と意気込む。
1袋200円(税別)。久慈、宮古、釜石、盛の各駅などで販売している。問い合わせは三鉄=0193(62)8900へ。