花巻

「猫の事務所」直筆稿公開 賢治記念館特別展【花巻】

賢治直筆稿が注目を集めている特別展「寓話 猫の事務所」

 宮沢賢治記念館の特別展「寓話 猫の事務所」は、花巻市矢沢の同館で開かれている。雑誌発表時1926(大正15)年の原稿は存在しないながら賢治直筆の初期形稿が残されている作品で、15日まで直筆稿を公開中。会場内パネルによる雑誌掲載版と初期形を見比べる熱心な賢治ファンらが訪れ、連日にぎわっている。

 直筆稿は今特別展に合わせて初めて展示されたもので、前後半の2回に分け期間限定公開。4月27日~5月6日に全22枚の前半部分を展示し、今月6日から、12枚目以降の後半部分が公開されている。原稿資料のほか、同館学芸員の伊藤夏子さんが物語世界から想を得た水彩画も添えられ、愛らしくユーモラスなネコたちの姿が来館者の目を楽しませている。

 実際に目にする機会は限られる資料だけに、来館者の関心は直筆原稿と発表形の差異。中でも、広く知られる物語の最後を締める一文「ぼくは半分獅子に同感です」は展示されている直筆稿にはなく、来館者に、初期形から雑誌掲載までの変遷、手直しの経緯をさまざまに想像させている。

 物語は、ネコの事務所で繰り広げられる騒動を通し、人間の差別やいじめの愚かさを描く。掲載版と初期形はかなり異なる部分もあり、同館学芸員の牛崎敏哉さんは「(原稿を訂正するための)消し方のこだわりは、最後の3枚が特に際立っている。それなのに、雑誌に発表された物には反映されていない。(物語終盤の)獅子の言葉は何でこんなに短縮されたんだろう、などいろいろと考えさせられる」と話し、直筆稿公開の意義に言及している。

 同作は賢治の生前発表作で、詩人・尾形亀之助が創刊した雑誌「月曜」の26年3月号に掲載。「月曜」には賢治の「オツベルと象」「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」も掲載された。

 開館は午前8時30分~午後5時。期間中無休。入館料は一般350円(小中学生150円、高校生・学生250円)。問い合わせは同館=0198(31)2319=まで。

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