北上・西和賀

半年間の修業結実 女性そば職人 髙橋さんデビュー【北上】

懸命にそばを打つ髙橋さん。待望のデビューを迎える

 北上市和賀町岩崎の石臼挽き手打ち蕎麦(そば)「神楽屋」(千葉晃史店主)で9日から、女性のそば打ち職人・髙橋悟子さん(45)が打った十割そば「細挽き十割」がメニューとして提供される。そば打ち職人は男性が大多数を占める業界だが、髙橋さんは同店で日常業務の傍ら修業を積み待望のデビューとなる。髙橋さんは「活気ある店にして、地域を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

 髙橋さんは2013年6月、夏油高原に通じる県道沿いにそば街道をつくるため実施された、そば打ち職人養成講座に参加。1年10カ月間、そば作りの基礎を学んだ。

 その後はそば打ちから離れていたが、養成講座受講生だった千葉店主(36)が18年11月、市立鬼の館隣接地に開店。千葉店主の声掛けに応じ、同店の従業員として働き始めた。

 当初から接客、配膳、調理補助の日常業務をこなし、開店2カ月後の今年1月からそば打ちを再開。数年のブランクがあり「不安だったが、実践あるのみ」と千葉店主の指導を仰ぎ、業務に支障のないよう開店前の朝を中心に修業を重ねた。

 神楽屋では養成講座時より1回に打つ量は多くなり、経験のない十割そばにも挑戦。難度も数段上がったが、半年間で養成講座時をはるかにしのぐ技術を身に付けた。

 デビューを前に7日、同店で試食会を開催。常連客や地域住民ら約20人が参加し、髙橋さんのそば打ちを見学し出来たてのそばを味わった。同市村崎野の女性(69)は「作っているのを見て雰囲気が伝わった。包丁の入れ方も素晴らしく、もちもちして歯ごたえもある」と堪能。他の客も「女性ならではの優しさを感じる」「本物のそばという感じでおいしい」などと好評だった。

 髙橋さんは「『おいしい』と言われうれしかった。ただ、スピード、そばを広げる『のし』『切り』の技術面ではまだむらがある」と課題を自覚。「千葉店主にはまだまだ及ばないので、もっともっと頑張りたい」と力を込める。

 女性そば打ち職人は市内でも先駆けとみられるが、髙橋さんは「男性の仕事とは思っておらず、女性だからというのは意識していない。おいしいそばを提供したい気持ちに変わりはない」ときっぱり。同店では自然農法で自家栽培したり、地元生産者からそばを調達するなど地場産にこだわっており「お年寄りから子供まで、北上のそばを食べてほしい」と声を弾ませる。

 頼もしい職人の誕生に、千葉店主も「男性でも手打ちの十割そばは難しいが、よく頑張ってきた。私も負けずに一緒に盛り上げていきたい」と意気込みを新たにする。

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