奥州・金ケ崎

賢治の理念テーマに 城内農民芸術祭開幕 11月まで26行事展開【金ケ崎】

城内農民芸術祭のプロローグとして行われた「賢治の時間」。11月4日までイベントを展開する

 東北芸術工科大金ケ崎芸術大学校が2019年度新たに企画した城内農民芸術祭は1日、金ケ崎町西根表小路の旧菅原家侍住宅で始まった。初日はプロローグイベント「賢治の時間『城内農民芸術概論』」が行われ、宮沢賢治作品の朗読や賢治の「農民芸術概論」などに関する対談が来場者の関心を集めた。11月4日まで、同住宅を中心に国選定城内諏訪小路重要伝統的建造物群保存地区(伝建群)内で26行事を展開する。

 同芸術祭は伝建群内の保存物件である同住宅で、18年度から学生と地域住民の協働で進められている金ケ崎芸術大学校のプロジェクトとして、賢治が掲げた農民芸術の現代的な実践を目指した小さな芸術祭との位置付けで企画。伝建群の特性を生かすとともに、生涯教育の理念に基づき、相互に共有し合うような形とし、次年度以降もにらんだ継続的展開を目指す。

 「賢治の時間」では開会行事に続いて、立花東亜子さん(同町在住)が賢治作品「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)」を朗読。情感あふれる語り口に来場者も引き込まれて聞き入った。

 また、「グスコーブドリの大学校」(一関市東山町)の講師を務める藤野正孝さん(同)と、金ケ崎芸術大学校共同代表で東北芸術工科大(山形県)芸術学部美術科総合美術コース市川研究室講師の市川寛也さんが対談した。

 市川さんは賢治の「農民芸術概論」に触れ、「金ケ崎芸術大学校はそれぞれが興味あること、得意なことを持ち寄ってやっていける空間をつくっている。そのベースが農民芸術概論。金ケ崎で何ができるか考えていく2カ月にしてみたい」と城内農民芸術祭への思いを発言。藤野さんは賢治と東山との関連性、かつて館長を務めた石と賢治のミュージアム、グスコーブドリの大学校での取り組みなどを語った。

 期間中は陶芸家きむらとしろうじんじんさん(京都府)ら全国で活躍するアーティストを招いたアートプロジェクトや、芸術視点から伝建群内の魅力、可能性を探るリサーチなどの特別行事を実施。これまで「○○の時間」と銘打って学生や地元実践者を講師に同大学校で取り組んできた体験、講座など開校日行事、地域団体による関連企画も集中的に行っていく。

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