花巻

「北大の父」偉業を紹介 佐藤昌介没後80年で記念誌【花巻】

佐藤昌介没後80年記念誌を発刊した顕彰会の佐藤編集委員長(右)と福盛田事務局長
農業近代化、北海道開拓に貢献

 花巻出身で北海道大初代総長を務めた佐藤昌介(1856~1939年)の偉業をまとめた没後80年記念誌が、花巻市の佐藤昌介顕彰会(鎌田雅夫会長)から発刊された。「北大の父」といわれた昌介の略年表や自叙伝、農業の近代化に身をささげた数々の功績などを網羅。顕彰会が活動の集大成として発刊したもので、関係者は「昌介の偉業を知る上で貴重な資料になる」と強調する。

 タイトルは「没後80年記念 郷土花巻出身の偉人 佐藤昌介-北海道帝国大学初代総長」でA4判、76ページ。鎌田会長の序文から始まり、▽昌介の生涯と略年表等▽昌介博士の自叙伝▽敬愛していた父佐藤昌蔵の顕彰碑▽昌介の業績▽昌介と郷里花巻▽昌介顕彰碑の建立と顕彰会の活動-の6章で構成する。

 札幌農学校(現北大)卒業生で、花巻ゆかりの新渡戸稲造(1862~1933年)とともに日本初の農学博士となった昌介が著した「北海道の農業の進歩」を収録し、万葉仮名を平仮名に変換して読みやすいようにしたほか、父昌蔵の顕彰碑文を専門家に解説を依頼して分かりやすくするなど、現存する昌介の資料を集めた。

 昌介は、盛岡藩士の長男として花巻城下の里川口村で生まれ、盛岡の作人館で原敬らと学んだ後、上京。大学南校(現東京大)、東京外国語学校に入学。さらにクラーク博士に請われ、札幌農学校に1期生として入学した。その後、同校長、学長、初代総長を務め、北大の父といわれる。北海道開拓に身をささげるとともに、後進の教育と指導に情熱を傾けた。

 顕彰会は、2006、07年に行われた昌介生誕150年記念事業で、花巻市仲町の三の丸公園観音堂前に記念碑を建立した実行委メンバーらが中心となって、08年3月に発足。昌介の顕彰祭や花巻の先人たちの調査研究、資料発掘などに取り組んだ。北大出身者12人を含む24人で構成するが、会員の高齢化などで今回の記念誌発刊をもって活動に区切りを付けた。

 編集委員長を務めた佐藤脩さん(82)は「年表や功績を収めるなど内容が充実した記念誌となった。昌介の功績を後世に伝えていくための大変貴重な一冊になる」と話している。

 200部作製し、希望者に1部1000円(送料込みは1300円)で頒布している。問い合わせは佐藤さん=0198(23)2052=または事務局長の福盛田弘さん=0198(24)8422=へ。

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