北上・西和賀

井上靖文学神髄迫る 哲学や芸術論へ視野広げ 読書会が100回 県南の愛好者ら作品読み込む【北上】

100回目となる読書会で井上作品について思索を深める会員ら
読書会100回を祝い記念撮影に収まる会員ら

 県南部の文学愛好者らで組織する「井上靖文学を読む会」(小野寺苓会長)が18日、読書会100回を達成した。同日は北上市内で100回目の読書会を開き、2002年の会発足から丸17年での節目を喜ぶとともに、引き続き井上文学の神髄を探るべく意欲を新たにした。

 同会は、作家の故・井上靖氏(1907~91年)が北上市の日本現代詩歌文学館の開館に尽力し、名誉館長を務めていることを縁に2002年11月に発足、03年2月から読書会をスタートさせた。現在の会員は、北上、花巻、金ケ崎、一関の4市町に住む60~80代の男女25人。同文学館に集まり、井上氏の作品について感想を述べ合う活動を2カ月に1回のペースで開催している。

 18日に同館で開かれた100回目の読書会には会員17人が参加。井上氏の初期の未発表短編小説「復讐」を題材に感想を述べ合った。読書会に先立っての集まりで井上靖研究会会員の小野寺会長(87)=一関市桜木町=は「井上先生の作品は数も多く幅も広い。あらゆる分野で考えさせられることが多く、会員も井上先生の魅力に取りつかれているのだろう」と魅力を語り、「日常生活を崩さない程度の活動ペースと、井上作品にほれ込み、批判を含めて言いたいことを言える自由な雰囲気を容認し合うところが会の魅力。井上先生の作品は山のようにあり、長く続けられると思うので、視野を広げて作品を読む活動を今後も続けたい」と意欲を示した。

 花巻市桜台の永井悦子さん(75)は「作品『利休の死』から人間対人間の出会いに大きな興味を持ち、道具や芸術論が入ってどんどん読み進んだことが興味を持ったきっかけ。文学だけでなく哲学や歴史などその周辺も学ぶことができている」、北上市堤ケ丘の遠藤陸子さん(78)は「友人の代わりに出席したのをきっかけに、引かれるものがあったのだろう入会して続けている。テレビを見ている時間が長い生活の中で、活字に触れる貴重な機会として大切にしたい」と活動の継続を誓った。

 19年度中に文集を作製する予定で、斎藤彰吾副会長は「100回を契機に井上作品がわれわれに何をもたらしたのか考えをまとめたい」としている。

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