花巻

旧まん福活用を断念 花巻市が解体の方針

建物の利用を断念し、解体の方向となった旧料亭まん福(7月撮影)

 花巻市は、中心市街地にある市所有の旧料亭「まん福」(同市吹張町)の建物を解体する方針を固めた。再利用について民間事業者の提案を受けるなどして検討したが、有効な利活用策がないため解体の方向で検討していく。

 まん福は1935(昭和10)年に建築され、その後に住宅部分などが増築された。花巻の老舗料亭として繁盛し、政財界人の迎賓や情報交換などにも利用されたが、利用客の減少などで2010年に店を閉じた。

 閉店後に住民団体から「活性化に活用してほしい」との要望を受けた市が、13年度に所有者から土地約3800平方メートルを5800万円で取得。木造一部2階建ての建物約1320平方メートルは寄付を受け、集会場として活用する計画を立てていた。

 利用可能とするために市が約3080万円を掛けて屋根の補修やトイレ洋式化、冷暖房設備設置、内壁改修などを進めた。しかし、現行の建築基準法に適合する建物にするには、耐震工事や消防設備設置などに数億円の改修費用が生じることから活用を見合わせた。

 土地取得から6年が経過した19年度に、民間事業者から民間資本による利活用策を求めて市場調査を実施。参加事業者の県内1社から資料展示施設の中心拠点活用について提案を受けたが、改修工事や維持費などは市が負担することを前提とした。

 庁内の内部委員会で協議した結果、資料展示などの事業実施が旧まん福の建物でなければならない必然性が低いこと、市が市場調査で期待した民間資金による事業提案ではないことから、「提案内容の実現は困難」との結論に至った。

 今後は土地の利活用を視野に建物の解体を検討する。上田東一市長は建物を解体する方向について「結果的に改修費用の3080万円が無駄になってしまい申し訳ない。土地の有効利用を含め市街地活性化に寄与できる方向性を考えていきたい」と話している。

 建物に設置した空調設備は取り外して公共施設での活用を検討する。

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