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LCWS 成功に向け尽力 「仙台宣言」採択し閉幕

ILC実現を目指す「仙台宣言」を採択し閉幕したLCWS2019

 【仙台・北村亮】次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の実現を目指し、仙台市内で開催されていたリニアコライダー(直線型衝突加速器)に関する国際会議「LCWS2019」は1日、ILC実現に向けた「仙台宣言」を採択、発表して閉幕した。宣言では、ヒッグス粒子の研究拠点となる「ヒッグスファクトリー」としての重要性を再確認するとともに、東北での実現に向けた強い支持、熱意を実感したことを強調しながら「ILCの成功に向けて力を尽くす」と実現を目指していく考えを改めて示した。

【2面に関連】

 会議は10月28日に開幕し、最終的な参加者は素粒子物理学や加速器科学の研究者ら23カ国・地域430人に上った。宣言について議論したほか、技術的な設計についても協議を進めた。

 宣言については初日に骨格が示された後、参加者からの意見を受けて最終日に発表に至った。この中では、ヒッグスファクトリーとしての建設について「次の世界規模のプロジェクトであると国際的に合意されていることを確認」。3月7日に示された日本政府の見解に関して「最初の公式見解として高く評価されている」としながら、「われわれはこの会議の全期間を通じて、日本特に東北地方のコミュニティー、産業界からILC実現への強い支持と熱意を感じた」と地元の対応を評価した。

 その上で「LCWSに参加している国際コミュニティーは、ILCに取り組む世界中の、ILCの建設および科学的探求を国際プロジェクトとして推進していることを改めて誓う」と一丸で成功を目指していく方針を示した。

 今回の宣言は、政府に対して提出することも検討する。策定が進む欧州素粒子物理戦略5カ年戦略にILCを盛り込んでもらうことを意識した採択、発表でもあり、会議の運営を担った山本均東北大大学院理学研究科教授は今回の宣言について「これだけの数の研究者が世界中から集まってILCを進めたいと言っており、欧州戦略はILCを無視できなくなる。世界中の研究者がやる気満々で、政府が前に進むならばわれわれは準備ができている」としながら、今後に向けては「全てにおいて技術を完全に確立し、コスト削減の議論も真摯(しんし)に進めていく。政府、一般の人に対してもILCをよく知ってもらう活動も行う」と述べた。

コスト削減へ議論求める 塩谷議連幹事長

 超党派の国会議員でつくるリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟の塩谷立幹事長(衆院議員)は1日、国際会議「LCWS2019」で講演した。世界各国の研究者らに対し、ILCの日本誘致実現を強くアピールする一方で、さらなるコスト削減に向けた議論を求めた。

 塩谷氏は3月7日に示されたILC誘致に関する政府見解について「重要なのは、官邸をはじめ財務当局を含めた関係省庁と調整した上での見解であること。これは、われわれ議連がILC計画について省庁間の枠組みを超えて国家プロジェクトとして推進すべきとかねてから主張してきたことで、他の科学技術計画とは異なることを示している。まさにオールジャパン体制でこの計画を実現していきたいという考えだ」と強調した。

 「ここに至って最も重要なことは、準備のための予算の確保と建設を行うための財源の検討で、活動をさらに本格化させていく」とする一方、研究者に対しては「日々目覚ましい技術の革新の中でさらなるコスト削減における研究議論の進展を期待する」と述べた。

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