北上・西和賀

希少メダカ 広がる保護の輪 1企業から他社、学校、地域へ【北上】

TDK秋田北上工場で育てたメダカを提供元のケミコン岩手の池に放流する関係者ら。メダカの里帰りで絆を深めた

 環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているミナミメダカを保護する活動が、北上市内で少しずつ広がっている。1企業の取り組みがこの4年間に同業種や学校などに波及し、地域の環境保全熱を高めつつある。取り組む企業は「メダカを通じたネットワークを形成したい」と、野生生物保護を通じた地域づくりの輪が広がることに夢を膨らませている。

▲環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されているミナミメダカ

4年前に飼育開始

 保護しているのは、絶滅の恐れがある野生生物種のリストである環境省のレッドリストで、絶滅の危険が増大している絶滅危惧2類に分類されているミナミメダカ。ダツ目メダカ科の魚で、いわてレッドデータブックではBランクに位置付けられる希少種。

 取り組みを開始したのは、コンデンサを主力製品とする同市下江釣子のケミコン岩手(三浦和人社長)。市内を流れる和賀川と北上川の合流地点の湿地再生事業をきっかけに、同社の親会社と大学教授との話し合いの中からビオトープを通じた生物多様性保全活動のアイデアが浮上。これを契機に2015年6月、工場敷地内に作った池に県内の北上川水系に生息していたミナミメダカを90匹放流した。

 その後、地元の小中学校や社内他工場へメダカを分配。親会社同士のつながりの中で同業他社との間でも話題となり、16年8月には同市和賀町に立地する電子部品など製造のTDK秋田北上工場にも数十匹譲渡された。それ以降も地元の保育園や小中学校などへの寄贈は続いている。

▲TDK秋田北上工場の玄関脇に設置されている水槽の中のメダカを眺める社員

活動に感銘 入社希望も

 保護活動に取り組んでから3年になるTDK秋田北上工場(斎藤真司工場長)は、「創造によって文化、産業に貢献する」という社是に基づき社会貢献活動を展開。当初は屋内水槽だけで飼育していたがより多くのメダカを育てようと屋外に池を整備。現在は600匹以上にまで増やした。会社見学を通じて環境の取り組みに感銘を受けて入社を希望する高校生がいるなど思わぬ効果も出ている。

 保護活動の輪を広めるため近くに立地する産業廃棄物処理業・環境整備(伊五澤泰彬代表取締役)に声を掛け、10月31日に北上リサイクルセンターに約50匹譲渡。また、譲渡元のケミコン岩手に対しても、約50匹のメダカを里帰りさせ希少生物保護の絆をさらに深め合った。

 ケミコン岩手の菊池浩二常務は「試行錯誤しながらの取り組みだが、輪が広がることはうれしく、和賀川流域の企業でつながっていきたい。地域に根差した活動を生産活動だけでなく環境保全にも広げ、地域と共有しながら長く続けていきたい」と願い、新たに水槽を設置し飼育に参加した環境整備の伊五澤代表取締役は「環境の仕事をしているだけに取り組みに参加できたことはうれしい。われわれも地域や学校に取り組みを広めたい」と意欲を示す。

 TDK秋田北上工場の斎藤工場長は「市内高校生が会社見学に訪れ、環境に対する取り組みに感銘を受け入社を希望するという志望動機にもつながっていることが大きな効果。これまでつながりの浅かった企業とも交流を増やすなど、メダカを通じ地域の企業や住民とネットワークや交流の輪を広げたい」と語っている。

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