北上・西和賀

土地利活用事業始動へ 立体駐車場皮切り 市、公民連携方式で推進 北上駅東口

JR北上駅東口の完成をイメージした鳥瞰図。左側は(手前から)マンション棟、オフィステナント棟、立体駐車場、正面はホテル棟。奥は北上駅
JR北上駅東口のイメージ図。右側はホテル棟で、正面は立体駐車場など。にぎわい創出が期待されている

 北上市が公民連携方式で推進するJR北上駅東口駐車場利活用事業は2020年、実質的に始動する。優先交渉権者に選定された北上ステーションイーストゲート(KSEG)プロジェクトチームが立体駐車場に加えホテル、賃貸マンション、オフィステナント棟を整備する方針。今年の立体駐車場を皮切りに、22年春ごろに全ての工事完了が見込まれている。

 半導体大手・キオクシアの立地や関連事業者の進出で市内の環境が変化する中、市は北上駅東口の市営駐車場(平面)など約1万平方メートルの公有地を有効活用しようと公民連携で同事業を始める。土地は市が無償で貸し付け、事業者は利活用を提案し設計、建設しその後維持管理と運営を担う。

 市は18年9月から事業者向けの市場調査や説明会を行い、公募には大手を含む4グループ(1グループは個人で資格外)が申し込んだ。企画提案を専門家と市幹部の選考委員会で審査した結果、19年10月にKSEGに決まった。

 KSEGは宮城建設(久慈市)を代表に佐藤組、北上物産、アベヤス(以上北上市)、久慈設計(盛岡市)の県内5社で構成する。提案では、立体駐車場は現行(374台分)を上回る452台分を確保。ホテル(9階建て193室、1階が店舗やレストラン)、賃貸マンション(10階建て54戸、1階がコンビニエンスストア)、オフィステナント棟(6階建て23区画、1階に日用品販売店、調剤薬局、クリニックを想定、2~6階はオフィス)を整備。イベントなどで活用できる公共空地、各施設をつなぐ歩行者用回廊も設ける。総事業費は約50億円。

 選定理由に▽北上駅東口のイメージの変化を期待できる▽課題のホテル、住居不足解消▽歩行者専用の回廊など導線が描かれている▽公共空間を設ける発想が良くイベントなどでにぎわいを創出できる―が挙げられた。

 市議会3月通常会議で土地の契約に関する議決後、KSEGは立体駐車場に先行着手。年内にも立体駐車場の利用が始まる見込み。現在の市営駐車場は、立体駐車場完成までの間も190台分は利用でき完成後、民営駐車場として営業を始める。

 その後他の建物の建設に順次着手。完成次第オープンし、22年春ごろに事業全体が完了する見通し。

 市は出資や財政支援はせず、建物の固定資産税を得る。老朽化している駐車場を新設できる上、不足するホテルや住居、オフィスの供給といった課題も解決できる。事業者も土地の賃借料が掛からず、建設費や運営費などに資金投入できる。市民の利便性も向上しにぎわい創出などが期待され「市、事業者、市民いずれもメリットがある」(市都市整備部)としている。

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