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誇り高ききれいな酒 萩野酒造

佐藤曜平さん(40) 東京農業大学醸造科学科を卒業後、2002年に入社。新銘柄「日輪田」を立ち上げる。専務取締役を経て2019年12月から代表取締役。弟・善之さんは南部杜氏。

 旧有壁宿本陣が立つ宿場町で1840年に創業した萩野酒造。歴史のある代表銘柄「萩の鶴」、クラシック路線で通好みの「日輪田」で知られ、最近は日本酒の日であり眼鏡の日でもある10月1日に発売する純米酒「メガネ専用」や、「萩の鶴 猫ラベル」で新たな日本酒ファンを開拓している。商品のほとんどが純米酒などの特定名称酒。地元はもとより、仙台や東京の激戦地で高い評価を受ける。

 「高級酒に特化したのは昭和後期、日本酒離れの危機感からだったと思う。そうしなければ小さな蔵は生き残れなかった」と8代目蔵元の佐藤曜平さん。その方針を受け継いだ酒造りでこだわるのは「きれいな造り」。きれいとは「Tシャツに例えるなら漂白剤を使った白さじゃなく、漂白剤を使わなくていいように仕上げること」。酵母による発酵で造られる日本酒はとにかく繊細。厳格な衛生管理が欠かせないが、震災後に設備を更新したことで管理レベルが向上。「これまでにないくらいいい酒ができるようになっている」と手応えを感じている。

 出品数で世界最大級の日本酒コンペ・SAKE COMPETITION(サケ コンペティション)2019の純米大吟醸部門で3位にランクインするなど受賞歴も多数。海外展開も視野に入れる。そして次に挑むのはまちおこし。「日本酒は水と米だけではなく、人と地域が原料。酒を飲んで興味を持ったら、それを造る地域を見に来てもらいたい」と消費者との交流イベントを計画中。奥州街道の面影を残す地域を、地酒の魅力で盛り上げていく。

飲んでほしい1本 萩の鶴 特別純米酒
食事に合う飲み飽きない味

(720㎖・1430円、1.8ℓ・2750円)

 定番商品で不動のレギュラー。多くの人に飲まれる商品だからこそ造り手としては気が抜けません。かなり気合を入れて造っています。味はすっきりきれいで甘くないタイプ。甘くせずにおいしくするのは難しいけれど、自分としては一番造りたい味。例えるなら、華やかなドレスではなくて、おろしたてのかっぽう着、という感じのお酒です。

萩野酒造
住/宮城県栗原市金成有壁新町52
電/0228・44・2214

momottoメモ

地酒を醸す酒蔵では今、若手の活躍が目立っています。体にしみる日本酒が一層おいしくなる季節。伝統を守り、チャレンジを続ける若き蔵元と杜氏を紹介します。

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