奥州・金ケ崎

造りたい酒への挑戦 岩手銘醸

三浦健太郎さん(34) 高校卒業後の2004年に岩手銘醸入社。製品部を経て酒造りに入り、18年南部杜氏資格試験合格。同社初の社員杜氏。

 「岩手誉」をはじめ、「仙臺紅屋長九郎」、冬季限定「とらまづ」などが地元で愛飲されている岩手銘醸。昭和30年に前沢の2つの酒蔵が共同で設立し、現在では奥州市唯一の造り酒屋となった。三浦健太郎さんは同社初の社員杜氏。伝統の味を継承しつつ、「造りたい酒」を目指す挑戦で蔵を活気づけている。

 「地元で働きたい」と18歳で入社した三浦さん。瓶詰めや出荷の仕事をするうちに酒造りに興味を持ち、そのとき蔵を任されていた杜氏に見いだされて20代半ばで杜氏を目指した。「重労働も多いけれど面白い」とのめり込み、杜氏デビュー作で岩手県新酒鑑評会県知事賞第1位を獲得(2018年酒造年度)。醸造がない夏場は全国各地で開かれる試飲会に参加し、造り手の言葉で自社の酒をアピール。他社の杜氏と交流する機会も増え「今一番造りたいのは、飲みやすいけれど味わいのある、食事に合う酒。いい肴に合わせるいい酒として、飲食店に選ばれる酒を造りたい」と意欲が増している。

 同社のこだわりは地元の米を使うこと。幻の酒米といわれた「亀の尾」は金ケ崎で契約栽培。県オリジナル品種「結の香」は奥州市衣川で三浦さんの父親が栽培する。杜氏2年目の造りが始まり「昨年は恐さもあった。今年は少しオリジナリティーが出せれば」と語る三浦さん。「おいしかったとか、応援しているよとか言ってもらえるのがうれしい。感謝を伝える方法はいい酒を造ることしかないと思っています」。

飲んでほしい1本 大吟醸生原酒 仙臺紅屋長九郎
父の米で醸した、甘く華やかな大吟醸生

(720㎖・2563円、1.8ℓ・5874円)

 父が作った結の香を使用し、2018年酒造年度の岩手県新酒鑑評会で第1位をいただきました。もとは仙台の料亭向けに特注で造っていた酒で、地元に愛飲者がたくさんいる人気の銘柄です。香り華やか、甘くすっきりとした味なので、食前酒や食後酒にぴったり。これを超える銘柄を造りたい、そう思わせてくれるお酒です。

岩手銘醸
住/奥州市前沢字新町13
電/0197・56・3131

momottoメモ

地酒を醸す酒蔵では今、若手の活躍が目立っています。体にしみる日本酒が一層おいしくなる季節。伝統を守り、チャレンジを続ける若き蔵元と杜氏を紹介します。

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