産地確立に先人の努力 大迫で企画展 ブドウ、ワイン歩み紹介【花巻】
企画展「ぶどう作りにかけた人々~北上山地はボルドーに似たり」は、花巻市大迫町の市総合文化財センターで開かれている。ブドウ栽培とワイン造りの歩み、国分謙吉元知事や村田柴太元大迫町長らを紹介。地域の気候風土や本格栽培70年を迎えた大迫ブドウ、国際的評価も高い「エーデルワイン」の歴史なども伝え、来場者の関心を集めている。2月2日まで。
葉タバコや養蚕で栄えた時代、カスリン、アイオン両台風による打撃、その後立ち上がったブドウ栽培の夢とワイン誕生、平成~令和時代の新たな試みといったテーマを掲げ、資料78点と解説パネルで構成。国分元知事や村田元町長の写真、当時の地域の様子を伝える「広報おおはさま」や新聞、村田元町長が残した書作といった資料が目を引く。「北上山系の石灰岩地帯にブドウを栽培し、岩手県を日本のボルドーに」と主張した国分元知事の先見性を指摘した解説パネルも興味深い。
このうち「ワインの誕生」コーナーでは、珍しい初期型ボトル4点などを展示。生産者還元用の一升瓶や底部の膨らみが特徴的な花瓶型は往時の雰囲気と黎明(れいめい)期の情熱を漂わせており、懐かしそうに見入る来場者もいる。同センターの佐藤幸泰学芸員は「今展は『普通の人』がテーマ。『この人が』ではなく、町の皆が力を合わせた成果を身近な歴史として感じていただけたら」と話す。
開館時間は午前9時~午後5時。一般入館料200円。問い合わせは同センター=0198(29)4567=まで。