日本は国際環境協力を 一関出身の髙橋郷さん(NPO代表理事) COP25に参加
一関市三関出身でNPO法人リトル・ビーズ・インターナショナル代表理事の髙橋郷さん(44)は、2019年12月にスペイン・マドリードで開催された国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)にNPO関係者として参加した。反政府デモの影響で急きょ開催国が変更されたほか、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の運用ルールの完全合意に至らず、成果が乏しかったという。日本を世界各国と比べて「非常に豊かな先進国」に挙げる髙橋さんは「日本はもっと国際環境協力に目を向けてほしい」と訴える。
COP25は、チリでの開催が予定されていたものの、地下鉄料金値上げへの反発や現政権の腐敗に対する批判など、民衆の抵抗運動により会場変更を余儀なくされた。
温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」のスタートを前に、運用ルールを完全にまとめられるかが焦点だったが、積み残しとなっていた温室効果ガス削減量の国際取引の仕組みについて合意が見送られた。
髙橋さんが強く感じたのは、政府関係者と非国家主体の参加者とのギャップ。「25回も続いている会議なので、本当に大きなギャップがあると現場でも感じた。ハイレベル会合の初日が終わり、会場の中で各国の大臣級の方々が力を合わせて決めましょうとしている時に、外では詰め掛けた人たちが『ふざけるな』と怒り、騒ぎになっていた。会場内でも実際の交渉官と、そうでない環境アクターの方たち、非国家主体の方たちの意識の大きな乖離(かいり)も見られた」と振り返る。
また、もう一つの問題として挙げたのは「COPの政治ショー化」という。「私たちのような人たちからすると、(国の)トップの人たちが表に出てきて、一般の議論に参加することで議論が高まる。パリ協定のCOP21の時はそうだったが、今回はトップの人たちがほとんど表に出てこなかった。多分、表に出ない方が批判を避けられると思うからだ。言葉は明瞭で厳しいが、態度がちょっとどうかなというのが実感だ」と語る。
日本は今回、国際環境保護団体「CANインターナショナル」から温暖化対策に消極的な発言をした国に授与される恒例の「化石賞」の2位に選ばれた。
日本政府に対し、髙橋さんは「私の視点からすると、日本は非常に豊かな先進国であり、優れた知見、経験の蓄積がある。資金的な余裕というのも、所得格差が大きくなっているといわれるが、世界に比べてはるかに豊か。もっと国際環境協力というものに目を向けてほしいというのが私の願いだ」と強調する。
たかはし・ごう NPO法人リトル・ビーズ・インターナショナル代表理事。早稲田大大学院アジア太平洋研究科後期博士課程在籍。2013年からケニアのスラムで女性の就業支援や子供たちの教育支援、循環型社会形成のための環境事業などに取り組む。