花巻

間違いも「楽しむ」社会へ 小国さん講演で訴え 認知症セミナー【花巻】

注文をまちがえる料理店のこれまでとこれからについて講演する小国さん

 花巻市社会福祉協議会の「よりそい・ささえあいセミナー」は25日、同市大通りのなはんプラザで開かれた。認知症の人がホール係を務める「注文をまちがえる料理店」発起人の小国士朗さんが開店に至った経緯や展望について講演し、間違いや課題を受け入れる温かな社会、人間性を尊重する大切さなどを訴えた。

 同料理店は2017年9月に都内に期間限定で開店。認知症への理解促進を図る取り組みは国内外に賛同の輪を広げ、同様の趣旨の店が各地で開かれている。

 テレビディレクターを務めていた小国さんは、入居者が自ら食事を作るグループホームを取材した際、聞いていた物と違う料理が出てきたのに周りの誰も指摘することなく食事を楽しんでいるのを見て「自分だけが気にしていた状況に恥ずかしくなった。間違いも、その場にいる人が受け入れれば間違いではなくなる」と実感し、同料理店の構想を立てたという。

 プレオープンを控え、スタッフチームの中では店名の通りに「あえて間違えるようなサービスを提供する方がいいのでは」という声もあったが、認知症の妻がいる男性の「妻を見ると、間違えちゃった時つらそうだ」という一言で方向性を決定。小国さんは「間違えることは目的ではない。むしろ間違えないために準備を重ね、そこで起きてしまった間違いをお客さんと楽しむ。目的はあくまでも、認知症の人と、認知症のことをよく分かっていない人とのコミュニケーション」と語り、料理のおいしさやおしゃれな雰囲気など、料理店としての質の高さを追求したことを強調した。

 同料理店を通じて感じた一つは「社会課題は社会受容の問題」ということ。「例えば満員電車のベビーカー。ベビーカー専用車両を整備する前に、一人ひとりが15センチ身を寄せ合うだけで解決するかもしれない。何か課題があるとき、法律を変えたりお金を投じたりするのも一つの方法だが、社会がそれを受け入れる空気をつくることで、普通に暮らせる場合もあるのではないか」と呼び掛けた。

 小国さんによる講演は2019年10月の市社会福祉大会で予定されていたが台風の影響で中止となった。同日は市サロンリーダー研修会に合わせて企画され、市民ら約200人が聴講した。

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