一関・平泉

県内一に導いたカリスマ 一関図書館・伊藤清彦副館長死去 「青天の霹靂」悲しみ広がる

一関図書館開館5周年トークショーで開館当時の思い出や今後の施設の在り方を語る伊藤さん=2019年11月24日、一関図書館

 書店勤務時代に「カリスマ店長」と称された一関市立一関図書館副館長の伊藤清彦(いとう・きよひこ)さんが17日午前2時、急性心臓死のため同市東山町の自宅で死去した。65歳だった。店長としての経験を生かし、貸出点数で県内トップの施設に導いた立役者の訃報に関係者らから悲しみや追悼の声が上がった。

 盛岡市のさわや書店本店の店長時代に「天国の本屋」「がんばらない」など良書の発掘やPOP広告の活用などで売り上げを伸ばした。退職後、新一関図書館整備計画委員を務め、2012年4月から大東図書館長、13年4月から一関図書館副館長を務めた。

 就任直後から翌年に現在地で開館が予定されていた新一関図書館の準備作業に携わった。自身の豊富な読書量に加え、書店員時代のノウハウを生かし、蔵書の選定や棚づくり、配列など多くの人に利用される施設づくりに尽力。開館翌年の15年度から18年度まで4年連続で個人貸出点数の県内公立図書館トップ記録に貢献した。

 7日に開講した一関図書館古典文学講座で講師を務めるNPO法人一関文化会議所理事長の内田正好さん(74)=一関市川崎町=は「開講日に言葉を交わしたばかりだったので信じられない。(同館を)素晴らしい施設にした功績者。今後の活躍を期待していたのに」と突然の死を惜しんだ。

 19年11月24日の開館5周年記念トークショーでは「出版界が厳しい状況にある中、図書館が書籍という文化を伝えていかなければならない」と力説。開館当時の館長として会場で対談した小野寺篤さん(63)=同市千厩町=は「これからのあるべき姿についても考えていた。突然このようなことになったのは本当に残念」と悼んだ。

 同館では「本の内容や出版社の特徴など膨大な知識を持っていた」「出版関係者とのパイプもあった」と優秀な人材を失ったことを嘆く。千葉秀一館長(60)は「まさに青天の霹靂(へきれき)。想像だにしていなかったので非常にショックだ。伊藤副館長の残した功績は偉大で、職員に多くの指導、示唆を頂いた。これまでの教えを今後の運営に生かしていく」と語った。

地域の記事をもっと読む

一関・平泉
2024年4月24日付
一関・平泉
2024年4月24日付
一関・平泉
2024年4月24日付
一関・平泉
2024年4月24日付