一関・平泉

新型肺炎拡大 観光地閑散「大震災後のよう」 シーズン前の収束期す【一関・平泉】

マスク姿で観光地を訪れる家族連れや個人の国内観光客。東北での感染者確認による入り込み数減少など今後の影響が心配される=29日、平泉町内

 国内での新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一関地方の観光地では年明けからインバウンド(訪日外国人旅行者)を中心に観光客の減少傾向が続いている。こうした中、29日に東北地方初の感染者が仙台市で確認されたことで、関係者の間からは国内旅行者を含めたさらなる影響悪化を危惧(きぐ)する声が上がっている。

 日本百景に数えられる一関市東山町の名勝・猊鼻(げいび)渓では2月下旬から台湾など団体客のキャンセルが相次ぎ、その数はげいび観光センターが運航する舟下り乗船客550人、げいびレストハウス提供の食事313人分。同月は前年同月を下回るのが確実となった。

 同センターの船頭の一人は「今は全然お客さんが来ない。まるで2011年の東日本大震災後のようだ」と語り、近くの土産物販売店員も「外国人観光客だけでなく、国内のお客さんも全然来ない」と嘆く。

 同センターグループでは消毒の徹底や、観光客の了承の下、屋形舟の換気などの対策を実施。同市観光協会長でもある佐々木賢治代表取締役会長は「協会の会員施設にも地域から感染者を出さないよう感染防止の徹底を呼び掛けている。一刻も早く収束してほしい」と語る。

 同市藤沢町の岩手サファリパークは、同日まで北東北と宮城4県在住者の入場料を半額としたこともあり来場者は例年並みを維持。中鉢徳博副支配人は「今のところ大きな影響はないが、東北でも感染者が確認されたことで慎重に見極め対応したい」としている。

 世界遺産に登録され国内はもとより多くのインバウンドが訪れる平泉町では、年明けから台湾を中心に団体客が減少。中尊寺や毛越寺などではマスク姿の国内旅行者の姿が目立つ。

 町内では前年の3分の2程度に利用が落ち込んでいる宿泊施設もあり、飲食店や土産物店関係者は「訪れる皆さんに安心していただく意味でもマスクを着用し、感染防止や拡大に努めていかなければ」と話した。

 平泉観光協会の千葉力男会長は2月27日の同協会総会席上「来年は世界遺産登録と震災からの復興10年の節目でもあり、今年は誘客に向けた勝負の年。新型コロナウイルスの影響でキャンセルなどが相次ぐ状況だが、3月までに何とか収まれば観光シーズンに間に合う」とし、一刻も早い事態の収束を願っている。

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