一関・平泉

春の藤原まつり中止 新型コロナ 見物客らの安全優先 平泉観光協会苦渋の決断

20万5000人の人出があった昨年の源義経公東下り行列。新型コロナウイルス感染拡大への懸念から東日本大震災以来の中止が決まった=2019年5月3日

 平泉観光協会(千葉力男会長)は27日、理事会を開き、5月1日から平泉町で開催を予定していた「春の藤原まつり」の中止を決めた。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、観光客やまつり参加者、地域住民の健康と安全を優先したもので、中止は2011年に東日本大震災のため源義経公東下り行列が取りやめとなって以来。新型コロナによる観光客の減少が深刻化する中、今後町の経済などへの影響が懸念される。

 中止が決まったのはメイン行事となる源義経公東下り行列(3日)と弁慶力餅競技大会(5日)、期間中催される郷土芸能。この他の行事については4月上旬に発表される。開催の可否については当初4月10日に発表する予定だったが、国内での感染拡大の状況などから2週間早められた。

 同協会では事態の好転を願いつつ規模縮小や延期の可能性も検討したが、千葉会長は「東下り行列を開催することで不特定多数の方々を国内外から集め、密の状態をつくり出すことで感染のリスクを高め、感染拡大を助長してはならないとの理由から断腸の思いで中止とした」とコメント。同町はもとより県内、東北を代表する春の一大イベント中止に青木幸保町長は「町民はもとより、県内外の多くの皆さまが大変楽しみにしていたまつりの中止は、大変残念であり苦渋の決断であったと思うが、町民や平泉を訪れる観光客、まつり関係者への安全を最大限配慮した結果であると思う」と述べた。

 春の藤原まつりは5月1~5日に開催。昨年は天皇陛下即位の諸行事に配慮して期間を3~5日の3日間としたものの、好天に恵まれた影響などで1、2日を含む人出の合計が38万3000人、3日だけで20万5000人が詰め掛けた。

 70回目の節目となるはずだった今年のまつりでは、東下り行列の義経役にNHKの連続テレビ小説にも出演している俳優の伊藤健太郎さん(22)=aoao所属=が決まり、同協会には全国からまつり開催を望む声が寄せられていた。

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