花巻

大正の疫病 教訓今に 「スペイン風邪」資料学ぶ 大瀬川歴史クラブ【花巻】

地域に残るスペイン風邪の記録をテーマにした大瀬川歴史探訪講座

 花巻市石鳥谷町の大瀬川歴史クラブ(菅原得之代表)歴史探訪講座は6日、同町大瀬川の消防会館で開かれた。大正年間に世界的流行が広がった「スペイン風邪」に関する地元の記録とみられる文書から、受講者が疫病の流行と地域、記録、その今昔に理解を深めた。

 各回テーマを設けて古里の歴史を学んでいる講座で、63回目の同日は男女13人が受講。現在の市議、行政区長的な役割を果たしていた人物が残した「区長及諸物引継目録綴(つづり)」の記録をテキストに進められた。

 同書の保存、記録作業を進めていた菅原代表(77)は、1919~20(大正8~9)年の記事に「悪性ノ流行感冒大流行ニテ老若男女ノ死者多カリキ」と記されているのを確認。具体的人数に言及はないものの、記事から地元でも犠牲者が出た歴史的事実を知り、現代に生きる者の教訓とするため講座を企画した。

 菅原代表は同文書以外の資料からも記載の裏付けを進め、犠牲者数などに相違点があることを確認。クラブ員は時代背景や死因特定の難しさといった多種の要因を考慮しつつ「『スペイン風邪』と届けなければ統計に反映されなかったのではないか」「現代のコロナ騒動と同じような状況だったのでは。われわれは多くの情報を手にできるのだから、周囲に感染させないよう気を配らねばならない」などと話し合っていた。

 受講した同クラブの板垣寛さん(88)は「スペイン風邪の頃はワクチンがなく、大変だったろうと思う。良いテーマを取り上げてもらった」と納得顔。菅原代表は「これを見た時、すぐ『今のコロナと同じだ』と感じた。当時は情報伝達手段が少なかったが、今はインターネットの世の中。時代に合った伝え方をしなければらない」と話し、先人の記録を生かした地域づくりに思いを新たにしていた。

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